15 6の直後のお話
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は有るか無いか言える存在だ。
そこらの傭兵の一人だと判断して適当な砦に押し込むのは勿体ない。 少なくともその価値がある、と俺は思った。
「ですよね…」
俺の身勝手さはいつもの事だから呆れられると思ったが、その予想に反してミーア姉ちゃんはそれを落胆したように疲れた声を零した。
溜め息まで漏らしてきた。 なぜだ。
「でしたら、話を通すべき方がいますね」
気を取り直したミーア姉ちゃんは、話を進めた。
面倒臭いとわかっていても、俺のワガママを通すには壁となる人物の顔が否応なしに頭に浮かんでくる。
「この方を姫様の付き人…の類にされるのでしたら、当然その根回しや段取り、その他の落としどころなどを宰相様にお伺い立てる必要があります」
「だよなー」
頭ごなしに否定する事はせず、俺の意向に沿ってくれるミーア姉ちゃんは本当によく出来たメイドだ。
それゆえに、面倒臭いとわかっていても逃げ場が無いのだと告げてくる。
「仕方ないな。 話通しておくか」
「はい。 では、ここ後始末と傭兵様の面倒に関しては“キメラ”達にお任せしましょう」
控えるように沸いてくる気配を感じながらも、俺は一歩後ろにミーア姉ちゃんを引き連れて、宰相の所へと向かう事にした。
――――――。
俺は宰相の執務室の前に来ていた。
そこにあるのは豪華さは無く、簡素で重厚な扉。
相変わらずちょっぴり叩き甲斐のあるその扉を前にして、俺は“拳”を作った。
「姫様。 怒られますよ」
「……」
読まれてる。
何回かついやっちゃうから覚えられてしまっている。
実際、全部が全部殴って壊してる。
仕方ないため、俺は控えめに握り手を作って、お淑やかに扉をノックした。
「―――どなたですか」
「俺だ、俺俺」
「―――姫様ですか。 どうぞ」
心底呆れたような声で返事が返ってきて、即座に扉を開けた。
そこには眼鏡の位置を直しつつ、机に積まれた書類と格闘をしていた宰相の姿があった。
「御機嫌ようエルザ姫様。 今日はどのようなご用件で」
余計な言い回しもせず、淡々と短い挨拶と率直に問いかける彼はエドヴァルド・ロックス。
これでも宰相だ。
控えめに言ってもこの国で“二番目”に偉い人物。
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