暁 〜小説投稿サイト〜
暴れん坊な姫様と傭兵(肉盾)
15 6の直後のお話
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 ―――そう……運命を感じた/獲物、見〜っけ。




「はぁ……」

 俺が胸にワクワクした感情を覚えている時に、静寂(せいじゃく)が戻った謁見(えっけん)の間で小さな溜め息が(こぼ)れたのが聞こえた。

 そこにはメイドのミーア姉ちゃんがいた。
 俺の拳の下では傭兵(ようへい)が一人沈んでいるが、俺が(めい)じてミーア姉ちゃん連れて来させた。
 俺の鬱憤(うっぷん)晴らし/暇潰しでこうなる結果がわかっていても、呆れるものは呆れるのだろう。


 ごめんなミーア姉ちゃん、仕事ばかりするの退屈なんだよ。


 だけどな、今回ばかりはいつもと違う。
 いつもの有象無象(うぞうむぞう)(たぐい)かと思っていたけど…意外や意外、こいつは“特別”だ。



 うん……なんか物欲しくなってきた。


「…せーの」

 下で失神(のび)ているこの傭兵をもう一回殴りたくなってきたので、俺は沈ませた拳を再度振り上げた。
 するとミーア姉ちゃんってば珍しくメイドとしての顔を崩し、慌てた表情を見せて止めてきた。


「えっ、エルザ姫様!? 何しようとしてるんですか!?」
「ん、もう一発殴りたいなぁ、って」
「な、何を言っているのですか!? 今まで一人につき一回で済ませてきたのに、エルザ姫の二回目などしたら壊れてしまいますよ!?」

 上手いな。 “死んでしまう”とかではなく“壊れる”か。 確かに俺の拳は破壊的だから、“壊れる”という表現は(まと)()ている。
 ミーア姉ちゃん、頭良いな。

 だけど、もう一度感触を確かめたい誘惑(ゆうわく)が俺に拳を固くさせた。

「ダメですからね」

 もうメイドの顔に戻ったミーア姉ちゃんは、冷厳(れいげん)に念を押してきた。
 さすがに、意識を失っている相手に追い打ちは非道だと自覚したので、俺は殴るのを()めとく事にした。



「でもさミーア姉ちゃん。 俺、こいつ欲しい」
「っ…え……!?/// ぁ、あぁ…エルザ姫様、欲しいとは…この傭兵様を……どういう意味ですか?」

 俺の言葉をどう解釈したのか、ミーア姉ちゃんは表情を二転三転(にてんさんてん)させて、(つと)めて冷静に()いかけてきた。

「そりゃもちろん、俺の手元に置いておきたいって意味に決まってるじゃないか。 だって、こいつの殴り心地が格別なんだぜ! 五体満足だしさ!」

 俺は、感情のままに喜色(きいろ)の声を出した。

 お気に入りの玩具(おもちゃ)、お気に入りのペット、そんな言葉では形容出来ない対象と(めぐ)り合えたのだ。
 相性がいいとか、しっくりくるとか、ウマが合うとか…まさに人生で
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ