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すれば丸ごと森に喰われておしまいだ。
単独で入るなんて以ての外だ。
―――ま、そんなバカいるわきゃないけどな。
「ま、いっか。 今日はもう食事して、さっさと帰るかな」
適当な所に腰を降ろして、手に持ったバスケットを地面に置いた。
土が付く事も構わず、無頓着に食事を始める事にした。
危機感が物足りなくて呑気な気分になるが、食べている方が退屈よりマシだ。
「さて、今日は何かな〜」
バスケットの中を覗く。
「お〜」
するとその中に入っていたのは、パンの詰まった弁当箱だ。
パンとパンの間に具を挟んで、綺麗に切り揃えたサンドイッチが入っていた。
型崩れしないように弁当箱の形にピッタリ納まるように詰められていて、それに加えて周りに布が敷き詰められているから振り回しても大丈夫なようにしてある。
流石ミーア姉ちゃん、俺が爆走してバスケットを振り回す事まで想定して用意してくれたようだ。
手掴みで食べる気軽さを厭わず、俺は早速そのサンドイッチを食べる事にした。
「いっただきま〜…んぁ?」
ふと、俺は息を止めた。
風で揺れたのとは違う、藪が揺れた音が聞こえてきた。
そこ/向こうに何かがいる。
俺は、手に持ったサンドイッチをバスケットに戻し、食欲に勝る戦意を抑え込んだ。
猫のように姿勢を沈ませ、森の静けさと同化するように息を潜ませる。
「―――」
一点に絞られた集中力は、音がしたと思われる藪に向ける。
俺は指を折り畳んで、手を拳として変えて硬く固めた。
“そいつ”が出てくる瞬間を俺は待った。
来い、来い、まだか、まだか、早く、来い、遅ぇぞ、早く、まだか、早くしろ……。
待たされる苛立ちが破裂しそうになる、その時―――藪が再び揺れた。
「はひぃ〜…また迷っ「おるぁああああぁぁーーーーーー!!」
先制で渾身の一撃が藪に突っ込まれた。
藪の動きと位置から、瞬時に居場所を割り出してそこに鬱憤と暇を晴らすための拳を叩き込んだ。
そして、狙い通り拳は肉を打つ手応えを感じ、思いっきり振り抜く勢いで殴り飛ばしてやった。
並の城壁に穴を空ける程度の威力の拳が唸り、猛烈な速度で森を突き破って吹っ飛んでいく影を見た。
…そして静寂が再び戻る。
「―――よし、殺った」
俺はスカッとした気
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