第一章
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信じる力
その大砲を見てだ、スウェーデン軍の士官達特に将軍は不安に思った。それでまずは彼等の間で話をした。
「軽いな」
「うむ、軽過ぎる」
「大砲にしてはな」
「確かに運びやすい」
「そのことはいい」
軽量ならばそれだけ馬で挽くにしても迅速に進められる、彼等もこの利点はわかったし進軍速度から
言ってもよかった。
しかしだ、それでもだった。
「だがそれでもだ」
「口径が小さい」
「大砲の威力は小さい」
「大丈夫なのか」
「王にお話するか」
「そうするべきだな」
こう彼等の間で話をしてだ、そうして。
彼等の主であるグスタフ=アドルフの前に参上して彼等の懸念を話した。彼等にしても不安を感じてだ。
「陛下、あの大砲ではです」
「問題があるのでは」
「軽量化はいいですが口径が小さいです」
「それでは威力が落ちます」
「勝てないのでは」
「そう思うか」
面長で立派な顔立ちをしている、髭は見事に切り揃えられ引き締まった逞しい身体をしている。北欧の国の主に相応しい風貌だ。王の服も似合っている。
そのグスタフ=アドルフ王は士官達にだ、威厳のある声で言った。
「卿等は」
「はい、あの大砲ではです」
「どうもです」
「軍の編成もです」
「鉄砲が多過ぎるのでは」
「しかも新型銃を実戦に使っても」
「果たして充分に動くでしょうか」
彼等は口々に言う、しかしだった。
王は彼等にだ、確かな声のまま言った。
「動くと言えばどうするか」
「陛下がですか」
「その様に」
「そうだ、余がだ」
こう言うのだった。
「そうであればどうだ」
「それならばです」
士官達、将軍達もだった。王のその問いには。
迷わずにだ、こう答えた。
「我等の考えは一つです」
「言葉もです」
「陛下が言われるならば」
「陛下のお考えながら」
「信じてくれるか」
「はい」
やはり迷いのない返事だった。
「我等は陛下の臣です」
「スウェーデンの軍人です」
「陛下の騎士なのです」
皆言う、強い声で。
「ならば言葉は一つです」
「若し陛下に二心があればです」
「我等は既にここにはいません」
「そうだな、では卿達はだ」
王は士官達に命じた。
「余の命じるままに訓練を行いだ」
「この大砲もですね」
「使いこなし」
「銃も槍も」
「全てですね」
「そうだ、使いこなしてもらいだ」
そしてというのだ。
「戦いそしてな」
「勝つ」
「それが目的ですね」
「我等の敵は多い」
スウェーデン、この国にはだ。
ポーランドにノルウェー、デンマーク、そして神聖ローマ帝国とだ。当時の欧州の国は何処もそうであったがスウェーデンもまた敵が多いの
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