第四章
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「本当にね」
「そうよね、これは」
「何で同じ様な事故に遭ったのか」
「それで同じ様な怪我をして」
「同じ病院に入院」
「変なことよね」
「そうよね、いえ」
ここでだ、ベルナデッテは。
幼い頃リゴレットを観た後で母に言われたことを思い出してだ、そしてだった。
そのうえでだ、ベッドの上で寝ているミレッラにこうも言ったのだった。
「これはあれよ」
「あれって?」
「因果よ」
それだったというのだ。
「因果応報よ」
「そうなるの?」
「確かにフローリアはああした娘だったから」
異常に気が強くしかも我が強い、口調はきつく他人に異常に厳しく我を曲げない。とにかくやりにくい娘である。
「嫌われるけれど」
「今も嫌いよ」
「けれどその不幸を笑うのはね」
「よくないことなのね」
「そうよ、それでね」
「私は今みたいになったの」
「そうじゃないかしら」
こう言うのだった。
「人の不幸を嘲笑するとね」
「自分に返ってくるっていうのね」
「リゴレットがそうじゃない」
ベルナデッテは実際にこの歌劇を話に出した。
「リゴレット伯爵の不幸嘲笑するでしょ」
「ええ、第一幕でね」
「そして自分も伯爵と同じ様にね」
「娘さんが不幸になって」
「挙句には殺されたのよ」
その為リゴレットはあまりにも無残な結末となっている、リゴレットは娘の亡骸を抱いて泣き叫ぶそこで幕が降りるのだ。自分の全てであった娘を失い。
「そしてそれはね」
「他人の不幸を笑ったから」
「あそこで伯爵は言葉を返したけれど」
「もう笑った時点でなのね」
「リゴレットは不幸になることが決まっていたのよ」
老伯爵の不幸を嘲笑した、まさにその時にというのだ。
「そうだったのよ」
「それで私もなのね」
「そうだと思うわ」
「そうなのね」
「ええ、だから本当に人の不幸を笑うのは」
まさにとだ、ベルナデッテは幼い頃の母とのやり取りを思い出しつつミレッラに話した。
「その時点でね」
「呪いがかかるのね」
「自分にかける呪いの言葉なのよ」
「相手に言う言葉じゃなくて」
「自分にね」
「そういうことね、わかったわ」
苦い顔になってだ、ミレッラもベルナデッテに応えた。
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