第二章
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「押し通そうとして」
「あんなに我が強い娘はそうはいないわ」
「そうでしょ、だからね」
ベルナデッテはここでこう言うのだった、今は同僚達と一緒に昼食を食べている、パスタや肉料理、それにふんだんにある生野菜を赤ワインと一緒に楽しんでいる。とはいっても今は料理よりもフローリアのことを話していた。
「あの娘とは一緒に仕事したくないわ」
「私もよ」
「何かっていうと自分を出すから」
「しかも曲げないし」
「もう自分が正しいだから」
「言い返したら倍でしょ」
「大変よ、一緒に仕事したら」
同僚達も言う。
「それこそね」
「そうそう、食べていてもね」
「すぐに自分出すからね」
「人に合わせることしないから」
「何があっても」
「困った娘よ、何とかならないかしら」
パスタ、貝とガーリック、それに茄子をトマトソースで味付けしたそれをフォークとスプーンで食べながらだ。ベルナデッテは言った。
「あの娘は」
「そうよね」
「ちょっと頭冷やして欲しいわ」
「何か思いきり辛い目にでも遭って」
「それでね」
「そうよね、それこそ」
ここでだ、ベルナデッテは。
そのフローリアについてさらに言おうとした、それは事故にでも遭うか恋人に振られるか仕事で失敗するかの不幸なことだ。
それを言おうとしたがだ、不意にだった。
何故かだ、口が止まり言葉が出なかった、そして。
同僚の一人がだ、彼女の代わりの様に言った。
「ああした娘は仕事で失敗するなり彼氏に振られるなり交通事故にでも遭えばいいのよ」
「痛い目に遭ってってことね」
「反省する」
「頭冷やせってことね」
「そうよ、不幸に遭えばいいのよ」
その同僚はまた言った。
「何かね」
「まあね」
「私そこまでは思わないけれど」
「ちょっとね」
「自分を抑えること覚えて欲しいわね」
「幾ら何でも我が儘過ぎるから」
「我が強過ぎて」
「どうしようもない位だから」
「交通事故に遭って」
その同僚はまた言った、顔特に口を歪ませて。
「それで少し反省したらいいのよ」
「とにかくあの娘どうにかならないかしら」
「厄介過ぎて仕方ないわ」
「あんな性格だからね」
「こっちが大変よ」
こんなことを話していた、そして。
話は他の、流行のことに移った。ここでやっとベルナデッテは言葉を再び出せる様になったが何故フローリアのことを言えなかったかわからなかった。
この昼食の時から一ヶ月してからだ、すぐに。
フローリアは実際に交通事故に遭った、横断歩道を歩いていると。
急に出て来た車に跳ねられた、幸い命に別状はなかったが。
大怪我をして入院することになった、その入院先でも我が儘を言って病院の医者や看護士達それに病院に出入りしている神父にか
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