第七章
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「遅くても朝には戻りますから」
「不思議だな、これはまた」
「かなりな」
「しかもあんた酒臭いぞ」
「相当飲んだからな」
「はい、今の私はお酒が混ざったお水です」
まさにそれだというのだ。
「水割りですね」
「それ冗談か?」
「変な冗談言うな」
「そう思っていて下さい、今日はご馳走様でした」
水の状態のまま言う。
「本当に有り難うございました」
「いや、お礼はいいけれどな」
「これも何かの縁だしな」
「雪女と一緒に飲むっていうのもな」
「滅多にないことだしな」
それで、というのだ。
「お礼はいいさ」
「それでもあんた早く戻れよ」
「暖房切るからな、コタツも」
「部屋冷やすからな」
水は冷えると氷になる、このことから二人もそうすることにした。
「早く戻れよ」
「水のままじゃあんたも不都合だしな」
「お気遣いどうも、では少ししたら戻りますので」
それで、というのだ。
「お暇させてもらいますね」
「ああ、それじゃあな」
「またな」
「何か水の状況の雪女さんと会話するなんてな」
「不思議だけれどな」
二人は何ともおかしな状況だと思いながらも実際に部屋の暖房を切った、コタツもだ。そして部屋の中に氷を出してだった。
自分達は厚着になってだ、それから氷に塩をかけた。すると部屋の気温は瞬く間に下がってそうしてだった。
雪音は水から元の身体に戻った、そのうえで二人に頭を下げて言った。
「本当にお気遣い有り難うございます」
「いやいや、気にするなよ」
「俺達もあんたがお水のままじゃ嫌だしな」
「部屋も濡れたままだしな」
「それでだからな」
「そうですか、では今日はこれで」
五千円はコタツの上に置いてある、それは忘れていない。
「またお会いしましょう」
「で、また会った時はな」
「やっぱりだな」
「はい、お酒を飲みましょう」
その時もというのだ。
「再び」
「ああ、じゃあな」
「またな」
「それでは」
雪女は二人に別れの挨拶をしてだった、外に出て行った。二人は雪女を玄関まで送ってからだった。喜一郎からだった。
喜多にだ、こう言った。
「何かな」
「ああ、変な話だったな」
「雪女と酒飲むとかな」
「しかも雪女が溶けて元に戻るとかな」
「変な話だった」
「全くだ」
こう二人で話すのだった。
「こんなこともあるんだな」
「そうなんだな」
「全く、世の中何があるかわからないな」
「本当にな」
「まあな」
今度は喜多が言った。
「何だかんだでもう二時だよ」
「もうそんな時間か」
「明日も仕事だし朝早く起きないとな」
「雪だからな」
「雪かきしないと外に出られないぞ」
この辺りは雪国ならではだ。
「だからな」
「あ
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