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三軒隣
第三章
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「考えてみたら」
「そういう感じか」
「それならもう気楽にね」
 実際に気楽に言う母だった。
「行ってらっしゃい」
「それじゃあな」
「翔太と翔悟宜しくね」
 弟達の保護者としてもとだ、このことも言ってだった。
 両親は翔平にウルル、家の近くの観光名所に行く様に勧めて翔平自身も頷いた。翔平はずっと気楽なままだった。
 そして日曜に家に来たその地元の観光会社の人と会った、見ればくすんだ金髪をオールバックにした濃い緑の目の鼻が高い白人だった。背は翔平と同じ位だ。彼は翔平に陽気に笑ってこう名乗った。流暢な日本語で。
「ロバート=マックスターというよ」
「宜しくお願いします」
 翔平はその彼、ロバートに明るく答えた。
「今日は」
「これからも縁があったらね」
「じゃあ今日は」
「ウルルに行くんだね、話は聞いてるよ」
 ロバートの方から言ってきた。
「もうお父さんから話は聞いてるから」
「それじゃあ」
「うん、お金の話も移動手段の話も済んでるから」
「後はですね」
「行って観て帰るだけだよ」
 そのウルルにというのだ。
「それだけだよ」
「わかりました、それじゃあ」
「弟さん達もいるよね」
「朝から楽しみにしてます」
 翔平はロバートに微笑んで答えた。
「ずっと行きたかったって」
「わかるよ、あそこはね」
「オーストラリアでも指折りの観光名所ですね」
「僕の仕事のメインの場所でもあるよ」
 観光会社にいる彼にとってもというのだ。
「いい場所だよ」
「じゃあそのいい場所にですね」
「今から行こうね、家の前に車があるから」
「その車に乗ってですね」
 翔平はロバートに自分の考えを言った。
「行くんですね」
「あれっ、聞いてないのかな」
「聞いてない?」
「まあとにかく弟さん達も呼んでね」
「はい、そうしてですね」
「行こうね」
 こうしてだった、翔平はロバートに悪い印象は受けずそのいい雰囲気の中で弟達も呼んで家を出た。途中まではロバートが運転する車で移動したが。 
 空港まで案内された、そこでだった。
 ロバートは翔平達にだ、こう言ったのだった。
「じゃあ僕がヘリを操縦するからね」
「ヘリ!?」
「そう、ヘリだよ」
 ヘリと聞いていぶかしむ翔平にだ、ロバートはあっさりと答えた。
「それに乗るんだよ」
「あの、ヘリって」
「だからウルルに行く為にね」
「ヘリに乗るんですか」
「そうするんだけれど」
「あの、ここからウルルは」
 翔平はいぶかしむ顔のままロバートに言った、その間に彼は弟達と共にロバートに空港の中に案内されている。
「三軒隣ですよね」
「近いよ」
「近いのにどうして」
 三軒隣の距離なのにというのだ。
「ヘリなんて」
「だってヘリじゃな
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