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三軒隣
第二章
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「あそこの自然は凄いよ」
「さっきUMAも出るとか言っただろ」
「あそこはUMAの宝庫でもあるんだよ」 
 このことも知っている翔平だった。
「ヨーウィだの海の怪物だの巨大な鳥だの大型カンガルーだのな」
「ヨーウィは原人らしいな」
「そうだよ、他にはタスマニアにまだフクロオオカミもいるかも知れないしな」
「タスマニアには行かないがな」
 しかしと言うのだった。
「それでも豊かな自然だろ」
「それならか」
「夏休みにでも来い」
「お金貯めて行くな」
 このことを約束してだった、翔平は両親を送って自分は大学で動物学を学んでいった。そして夏休みに両親に約束した通りにだ。
 オーストラリアに旅行に来た、だが。
 両親の家に来てだ、彼は両親が今住んでいるその社宅の西と東を左右に見てからだ。眉を顰めさせて言った。
「あのさ、シドニーとかじゃないんだな」
「ああ、父さんはここの責任者なんだよ」
「アリススプリングのか」
「支局のな」
「確かここからか」
「少し行くとな」
「確かあれがあったな」
 それが何かとだ、翔平は言った。
「ウルルがな」
「ああ、今はそう言うんだな」
「昔はエアーズロックって言ったんだよな」
「父さん達が若い時はな」
 父は我が子に話した、母も弟達も一緒に住んでいるが広い社宅は日本では豪邸と言っていい位のものだ。
「そう呼んだよ」
「それがあるか」
「何なら行ってみるか?」
 軽い調子でだ、翔平に言った。
「翔太と翔悟連れてな」
「三人か」
「行ってみたらどうだ、こっちの人に聞いたら三軒隣みたいなものらしいぞ」
 それ位の間隔の場所にあるというのだ。
「だからな」
「ここに来たのも縁でか」
「行ってみたらどうだ、父さんは仕事があるがな」
「いい機会だし行ってきたら?」
 母もこう言ってきた。
「二人を連れてね」
「うん、兄ちゃん行こうよ」
「そうしようよ」
 弟達も言って来た、翔太は小学六年、翔悟は五年だ。翔平とは結構年齢が離れている弟達だが二人共顔はよく似ている。
「時間あるならね」
「ウルル行こう」
「僕達まだ行ってないし」
「それならね」
「そうだな、それじゃあな」
 翔平も弟達に言われてだ、頷いてだった。
「ウルル行くか」
「よし、じゃあ知り合いの人に言っておくな」
 父は我が子の言葉を受けて明るく応えた。
「その人に連れて行ってもらえ」
「こっちの人か」
「こっちの旅行会社の人だ」 
 オーストラリアの、というのだ。
「スチュワートさんといってな、一緒に仕事もしている」
「そうか、じゃあな」
「ああ、その人に連れて行ってもらえ」
「そうするな」
 彼はどうせ近くだと思っていた、オーストラリアの広さはシドニーからここに
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