第二章
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「その奥さんも一生養わないとならない」
「それがかなりの負担だから」
「それで傾いた家も多い」
離婚したその妻を養う金でだ。
「しかも別れた奥さんが実は良妻だったとかな」
「よくある話だね」
「それ位なら他にもう一人だ」
「いい奥さんを貰う」
「四人まではいい」
これもコーランにあることだ。
「公平に愛さないといけないにしてもだ」
「その中にいい奥さんを貰っておく」
「そうすればいい、離婚はせずだ」
「そして大切に」
「そうしろ、多少以上のことは大目に見ろ」
自分の妻がすることについてはというのだ。
「わかった、そして式のことだが」
「うちはお金があるから」
アサムは真剣な顔で言った、まだ二十歳になったばかりの若々しい顔立ちだ、穏やかだが整っている顔立ちは父譲りだがまだ父の様に口髭と顎鬚が一つになった立派な黒い髭はなくそうしたものは全くたくわえていない。
「だからだね」
「それなりのものにする、そしてだ」
ウサインは我が子にさらに言った。
「服もいいものを着させてやる」
「そちらもだね」
「とびきりのミシュラーを出してだ」
イラク辺りのアラブ人の民族衣裳である。
「それを着させてやる」
「新郎の為の」
「わしも祖父様も弟達も皆着た」
「結婚式の時には」
「由緒ある服だ、それを着ろ」
「わかったよ」
アサムは父の言葉に確かな声で答えた。
「着させてもらうよ」
「ジャアファルみたいな男伊達でだ」
我が子にもこの話をするのだった。
「式に出ろ」
「父さんがいつも言っている」
「そうだ、ああした格好よさでな」
「ジャアファルね」
「我が家の先祖だ」
「父さんいつもそう言ってるけれど」
息子もだ、彼のその話にはこう言うのだった。
「実は違うんじゃ」
「違うものか、あの粛清もモンゴル帝国やティムールの破壊も生き残ってだ」
そしてとだ、また言うウサインだった。
「バルマク家はここにあるんだ」
「それは嘘だよね」
「わしは嘘は言わん、商売は誠実さが命だ」
「じゃあ間違いかホラか」
「どっちでもない」
「けれど本当に」
どう考えてもというのだ。
「バルマク家はあの時で滅んでるよ」
「だから生き残ったのがわし等のご先祖様だ」
「千数百人も粛清されたのに」
ジャアファルの父と兄も処罰されている、ジャアファル自身は処刑された亡骸を三年の間晒されている。
「それで生き残ったとか」
「機転を利かして生き残ったのだ」
「それでバグダットに潜んで」
「生きていたのだ」
そういうことだというのだ。
「そしてモンゴル帝国からもティムールからも生き残った」
「どっちも徹底的に殺したのに」
敵には微塵も容赦しない、モンゴル帝国もティムールも草
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