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トウブ
第二章

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 二人は飛行機で日本からサウジアラビアに赴いた、そのリヤドに着くと。
 由乃は空港に降り立った瞬間にだ、うわという顔になってこう言った。
「これは」
「暑いでしょ」
「聞いていましたけれど」
「砂漠の国よ」
「それで、ですね」
「この気温は当然よ」
「お昼はこうで」
 ここでこんなことを言った由乃だった。
「それで夜は」
「知ってるのね」
「凄く寒いんですよね」
「砂漠だから」
 その中にある国だからとだ、美樹も答える。
「やっぱりね」
「そうですよね」
「寒いわよ」
 夜はというのだ。
「相当にね」
「やっぱりそうですね」
「だから気をつけてね」
「その寒暖の差に」
「宗教的、文化的なことに」
「気候のことも」 
 サウジアラビア、砂漠地帯のそれにもだ。
「気をつけて、ですね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「三島さんもう結構わかってるから」
 砂漠の気候のこともというのだ。
「後は実践だけだから」
「いいですか」
「わかっていたらね」
 それでというのだ。
「もういいわ」
「そうですか」
「じゃあ後はお仕事よ」
「そのことで」
「お話していきましょう、ホテルでもね」
 これから二人が入るだ。
「打ち合わせするわよ」
「わかりました」
 由乃は美樹に対して確かな声で頷いた、そしてだった。
 二人で空港から歩いて空港の近くにある予約を入れていたホテルにチェックインした、そのうえで実際に仕事の話をした。
 白いカラーリングで清潔かつ質のいいベットがあるホテルの部屋の中で卓を挟んで二人で向かい合って話をするが。
 その中でだ、美樹は由乃にこうも言った。
「直接的なビジネスパートナーはね」
「はい、サウジの方の」
「ウサム=アル=ラシードという人だけれど」
「何かアラビアンナイトに出そうな名前の人ですね」
「私もそう思うわ、この人とは前にも一緒に仕事をしたけれど」
 美樹が最初にサウジに来た時にというのだ。
「歳は私と同じでね」
「二十八で」
「同じ年齢でも王家の人と血縁で」
「サウジの」
「ええ、かなりの地位がある人だから」
 サウジは王室の力が強い、民主政治とはまた違うシステムの国家なのだ。それで王家の者と血縁であることは強いことになるのだ。
「礼儀にはね」
「余計にですね」
「気を付けてね」
「わかりました」
 由乃も美樹のその言葉に頷く。
「そうします」
「失礼がない様に、それとね」
「それと?」
「惚れないことよ」
 微笑んでだ、美樹は由乃にこうも言ったのだった。
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