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チャドリ
第五章
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「それはまた」
「俺もそう思う」
 マスルールもわかっているのでこう言う。
「死ぬ時に最高の楽しみを堪能したんだ」
「そうだな、それでか」
「あの人は後家になった、それで一年だ」
「そういうことか」
「ああ、それで今度はあんたがな」
「俺は爺さんじゃないからな」
「今二十二だったな」 
 マスルールはイマルに彼の年齢を尋ねた。
「そうだったな」
「これからだな」
「男はな」
「昼は仕事をして夜はな」
「あの人とか」
「そうするさ、やってやるぜ」
「その意気だ」
 マスルールも笑って応える、そうした話をしつつだった。マスルールはイマルを彼の家まで送っていた。しかし。
 ふとだ、二人はイマルが昼に商いをしているその通りに出た、ここでだった。 
 イマルは眉を顰めさせてマスルールに言った、尚二人もジャラーダも酒は飲んでいない。ムスリムだからである。
 たらふく食ったが酒は一滴も入っていない顔でだ、イマルはマスルールに言った。
「あの話だけれどな」
「十二時のだな」
「もうそろそろだな」
「ああ、そうだな」
 マスルールもそうだと答えた。
「そういえばな」
「これはまずいな」
「ここにいたらな」
「隠れるか」
 イマルはマスルールにすぐに行った。
「何処かに」
「グーラ達が出て来る前にな」
「何処に逃げる?」
「あそこしかない」
 マスルールは二人にとっては実に都合よく傍にあったモスクを指差した。
「あの中だ」
「ああ、モスクならな」
「邪な存在は絶対に入ることが出来ない」
「グーラでも何でもな」
「あそこに避難するぞ」
「わかった、それじゃあな」
 二人で話してだ、そのうえでだった。 
 すぐにモスクの中に駆け込みその扉を少しだけ開けてだ、通りの様子を見た。すると。
 まだ十代と思われる背丈の少女達が歩いていた、その身なりはというと。
 キャップ状の頭部から細かなプリーツがマントの形で広がり身体全体を覆っていて目元はネットになっているチャドリだった。色は黒や水色、黄色に白と様々だ。チャドリの下はワンピースの服であるゼロペロンやケミル、トンボンというゆったりとしたズボンだ。このズボンはジャラーダも穿いていたが彼女はチャドリは着ていなかった。
 その服を見てだ、イマルは行った。
「バシシュトワーン人か」
「ああ、そういえばな」
 マスルールも言われてはっとなった。
「チャドリはバシュトワーン人の服だったな」
「そうだったよな」
「そうか、バシュトワーン人の娘達がか」
「戦争に巻き込まれて死んでか」
「グーラになってだ」
「ああして徘徊してるんだな」
 歩き方は明らかに聖者のものではなかった、ただ虚ろな感じで歩いている。それで二人もわかったのだ。
「成程な
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