第3章:再会、繋がる絆
第61話「傷ついてでも動く」
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
...ぅ....。」
「いつ、退院していたんだ?それに、その恰好は....。」
最近は忙しくて会えなかったから色々聞くが、聖司は答えない。
それどころか、何かに極端に怯えている。
「...なにがあった?」
「ぁ..ごめ....僕に、近づいちゃ....。」
「え、どうして....っ!」
とにかく何があったか聞こうとして、僕は聖司の背後から見える人物に気づいた。
それは女性だった。ただし、髪を振り乱し、手に包丁を持っていた。
「まさか...!」
「ひっ....お母さん....!」
「下がれ!聖司!」
「優輝君...!?」
何があったかを聖司の言葉から察し、すぐに庇うように前に出る。
手に持っているのは鞄だけ。だけど、これでも包丁ぐらいなら...!
そう思い、僕は迫ってくる聖司の母親に対して身構える。
「させない...!」
「死ねぇえええ!!」
「優輝君.....!」
叫びながら突き出される包丁に対し、鞄で防ごうとして....聖司に突き飛ばされた。
「なっ....!?」
「が....ぅ.....。」
申し訳ないと言った顔で聖司は僕を見て、そのまま庇って刺される。
「あんたなんかに....幸せなる権利なんてないわよ....!ここで死になさい...!」
「っ、あ......。」
呪詛のように聖司の母親はそう言い、聖司はそのまま仰向けに倒れる。
「聖司...!?くそっ....!」
「あ...はは...やったわ...やって....っ!?」
「お前....!このっ...!」
狂ったように笑う聖司の母親に対し、僕は蹴りを放つ。
それで包丁を叩き落し、そのまま一本背負いをして無力化する。
「誰か!警察と救急車を!」
「...ぁ...優...輝....君.....。」
人が集まってきていたので、他の人に救急車を頼み、僕は応急処置に当たる。
「聖司!しっかりしろ!くそっ...!なんでこんな事に...!」
刺された箇所を抑え、必死に止血しようとする。
...しかし、とても衰弱しているようで、それだけでは助かりそうにない。
「...も..ぅ、無..理....だ...。」
「聖司....どうしてここまで衰弱して....っ、そう言う事か...!」
言っている途中で、大体察してしまう。
詳しい事は分からないが、ずっと虐待を受けていたのだ...と。
「くそっ...!くそっ...!聖司!しっかりしろ!」
「...ぁ...ぅ....。」
徐々に弱まっていくのを手で感じながら、必死に助かってほしいと願う。
「....優輝...君..
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ