第三章
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「そやから節約や」
「贅沢はせんと」
「お水や電気も節約やな」
「水道の蛇口はいつもしっかりと止めて」
「電灯も人がおらんと消して」
「何で節約や」
そうした小さなことからというのだ。
「ええな、お金は大事にするんや」
「そんな話は飯の時にせんでええ」
一緒に食事を摂っている母の美湖が娘を注意した。
「まずくなるわ」
「けどおかん」
「そんなん言わんでも健一も美菜もわかってるわ」
二人も既にというのだ。
「そもそもうちそこまで苦しくないで」
「そやろか」
「確かに昔に比べてお客さん減ったけど」
「それあかんやん」
「そういうこと気にするよりや」
「味かいな」
「たこ焼きの味のこと考るんや」
商品のそれのというのだ。
「雑誌やネットで評判なる位にな」
「景気よりもそれかいな」
「お客さんが来やへんって言うより」
それよりもというのだ。
「お客さんを惹き寄せるんや」
「たこ焼きの味でかいな」
「それが第一や、うちの信条は何や」
「早い、安い、美味いや」
美咲は母の問いに即答で返した。
「その三つや」
「吉野家やな」
「そや、一緒やから覚えやすいやろ」
「その三つを兼ね備えてこそやな」
「うちの店や、そやからあんたもや」
「景気の話とか節約の話するよりもか」
「味や、それをしっかり勉強するんや」
おかずの冷奴を食べつつ言う、おかずは他に大根の味噌汁と鰯の生姜煮だ。
「景気のことは気にしてもいつも言うことやない」
「時々でええんか」
「味のことをいつも考るんや」
「早い、安い、美味い」
「その三つをや」
まさにというのだ、そしてだった。
美咲はこの時は黙って夕食を食べた、だがそれでも景気のことを考えてしまう。それで萌美の家である家のすぐ傍からはじまる天下茶屋の長い入り組んだ商店街に入って彼女の家に入って二人でゲームをしながら遊んでだった。
商店街に出て二人で歩きつつだ、美咲は自分の右手のシャッターを観て眉を顰めさせた。
「ここもかいな」
「そや、そのお店もな」
「こうなったんやな」
「ほんまなあ」
「景気がやな」
「悪いわ」
萌美も眉を顰めさせている、そのうえでの言葉だ。
「この通りな」
「何か最近特にな」
「景気が悪いやろ」
「天下茶屋な」
「日本全体では景気ましになったんやろ?」
「株価もな」
「それで何でや」
中学生なのでまだ社会のことはよくわかっていないがだ、萌美は歩きつつ腕を組んで難しい顔になって言った。
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