第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#18
DARK BLUE MOON] 〜Body Feel Ignited〜
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【1】
瀟洒なホテルの一室に漏れる、麗らかな陽光と爽涼な海風。
ソレをその至高の芸術品のような美貌に感じながら、
無頼の貴公子は黎明の浅い眠りに微睡んでいた。
口から漏れる、微かな吐息。
凄艶なる男の色気を、ゾッとする程に感じさせるその姿態。
躯から仄かに立ち上る、力強くもしなやかな芳香
その彼の脳裡に、いつもと明らかに違う異質な感触が走った。
(生……?)
脳がまだ未覚醒状態の、意識に靄が揺蕩う状態では在るが
それでも明確に感じる確かな熱。
(生、なま、ナマ暖ったけぇモンが、腕ン中、に……
何だ? こりゃ? 妙に、フニャフニャして、柔らけぇ……)
手と腕と首筋と胸と、いちいち数えるのが煩わしいと想える程、
その不可思議な感覚は甘美で抗い難い。
本能的に、そのまま己の躯を包む甘い匂いに抱かれながら、
心地よい微睡みの中にいつまでも浸っていたいという誘惑に駆られる。
(マジで……何、だ……コレ……コ、レ……?)
だがしかし、ソレとは対極に位置する意志が、即座に脳髄を直撃した。
(まさかッ! 新手の 『スタンド攻撃』 かッ!?)
認識した刹那、彼は無理矢理意識を覚醒させその怜悧な両眼を見開く。
『スタンド』 は、人間の 「精神」 を原動力として発動する超常の 『能力』
ならば 『夢の中に現れる』 或いは 『死の幻惑へと誘う』
スタンド能力が在ったとしても不思議はない。
冷静に考えれば至極当然なコト、自分の祖先の躯を奪って現代に甦った
卑劣なる “アノ男” が、相手の寝込みを 『襲わない筈がなかったのだ』
白いシーツの上に臥した状態では在るが、
即座に臨戦態勢を整え己の超至近距離で感じる気配に承太郎が向き直った刹那。
ソコに在ったのは、殺戮の白光を背にギラつかせる大鎌を携えた死神
……ではなく、無垢な表情で安らかな眠りにつく天使の姿。
「……」
その天使、否、シャナが布地の薄い清楚な下着のみという
限りなく無防備に近い状態で寝間着の胸元をしっかと掴み、
寄り添うような状態で静かな寝息を立てていた。
普段の凛々しい風貌など視る陰も無い、純然極まりないソノ姿体
全身に感じる大きな安息に包まれ、淡く揺れる眠気。
そのスタンドが一巡の世界を通り越して逆から戻ってきたような、
まだ幻覚から醒めたら己の肉体が溶かされていたという現実の方が
納得いくという光景に、さしもの無頼の貴公子も茫然自失となる。
そし、て。
( 『星 の 白 金ッッ!!』 )
勇壮な声で反射的にそう念じ、空間を歪めるような音と共に
彼のスタンドがその雄々しい黒髪を揺らして出現する。
(
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