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とある科学の捻くれ者
4話
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いるはずの男はそこにはいない。であれば、予想外の方向から攻撃が来ることも不思議ではない。例えば全くガラ空きの背中などから攻撃が来ることも何ら不思議ではないのだ。

(もらったぜぇ!)

男はこの瞬間勝利を確信する。今も自分の虚像を見つめる目の前の男に今の自分を視認することは不可能だと。
この男は予想だにしなかったのだ。





ーーまさか、突然男が自分を見るだなんて。







迫り来る拳を八幡は冷静にかわす。
その後二発、3発と攻撃が続くが全てかわされる。避けられることに焦ったのは、さっきとは全く逆の感情を貼り付ける男だった。

(なぜだ!!なぜこいつはおれの攻撃をかわせるんだ!!)

「テメェ!なぜ俺の攻撃をかわせる!!!」

だが、その問いに八幡が答えることはない。
その返答は二発の銃弾で返された。

「ガッ!!!」

それは能力を使い姿が見えないはずの男の体を正確に射抜き、その一撃で男は地に倒れ伏した。

「お前の悪意は無防備すぎる。」

薄れゆく意識の中で男が最後に聞いた言葉であった。




***




(倒したん...ですの!?)

白井は自分が苦戦していた相手を完封した八幡に心底驚いていた。しかも能力を使わずに、だ。

「おい。白井大丈夫か?」

「何とか大丈夫ですの。それよりさっきの男は...?」

「ん?...あぁ、俺が使ってた拳銃はエアガンを改造したものだからな。実弾じゃないから殺傷性はない。」

だから大丈夫だ と八幡は言った。それをきいて白井はほっとする。

「そんなことより、俺は疲れた。早く行くぞ」

「わ、わかりまし...うっ!!」

先ほどの戦闘のいたみが響いたのだろう。白井はうめき声をあげる。

「はぁ...」

「ひ、比企谷さん?」

八幡がこちらに寄ってきて、白井のことをおぶった。

「ちょっ!!比企谷さん!?」

「黙っておぶられてろ。怪我してんだろ」

彼から珍しく心配の言葉をかけられ、白井は俯き、黙り込んでしまった。

「全く...普段はぬぼーっとしてるくせに...」

「おい、それは関係ないだろ?」

「フフッそうですわね。」

少し笑って怪我に響いた白井であった。


***

佐天涙子は先ほど比企谷八幡が入っていった廃ビルを見つめていた。

「大丈夫だったか?お嬢さん。全く無抵抗の女をやろうとするなんてこいつらなってねぇな。」

と、垣根はすでに倒れている二人の男を一瞥した。

「比企谷さんも能力者なんですか?」

突然そんなことを言い出した目の前の少女に垣根は疑問符を抱く。

「あぁ。それがどうかしたのか?」
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