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恋姫†袁紹♂伝
第46話
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歩兵を始めとした新兵達には堪えられないだろう。

 並みの兵や将なら、即座に白旗を掲げるほどの戦力差に圧力。
 それを受けて華琳は――笑った。

「冗談は御輿だけにしなさい。麗覇!」

 降伏など冗談ではない。
 陽軍が圧勝出来る兵力を揃えた様に、魏軍も勝利出来るだけの準備をしてきた。 

「我が軍の将兵は“百戦錬磨”!」

 夏侯姉妹を始めに名将なら此方にも揃っている。兵達は黄巾以降、実戦で幾度も叩き上げられてきた。大炎には及ばないものの、一人ひとりの錬度ではこちらが数段上だ。

「我が軍の補給路は“要害堅固”!」

 白馬を攻撃と補給の両方を目的とした拠点に改造。
 河に囲まれていることから、背後を取られることもまず無い。

「我が軍の戦術は“随喜応変”!」

 地形を最大限に利用し、一度に相手とる敵戦力を制限。
 人海戦術など用いれば、ここぞとばかりに迎撃して勢いを削ぐ。
 万が一、陽軍が渡河に成功したとしても、後方に下がり新たな河を隔てて対岸で迎えうつ。
 それも、官渡に近づけば近づくほど大軍には険しい地形になる。

「私も宣言するわ――我が軍に負けは無い!」

『オオオオオォォォーーーーッッッ!!』

 それだけの準備、それだけのモノを用意してきたのだから。

 覇王の声明により、先程まで場を制していた名族の圧が音を立てて崩れた。
 魏軍の兵士達の目に恐怖は無い。あるのは主に対する絶対的な信頼と戦意だけ。
 彼らの咆哮を受け、数で勝っているはずの陽軍が肩を震わせた。

「吼えたな“曹操”吐いた唾は飲み込めないぞ」

「もとより承知の上よ“袁紹”」

 真名呼びを止めた事で、お互いに対する認識を変える。
 
 友としてではなく強敵として。
 また真名で呼び合う、それはどちらかが敗北し吸収された時である。


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