十五話:遊園地
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
そうだね』
その程度で人を嫌いになるようなジャンヌではない。
優しく包み込むような微笑みでぐだ男を完全復活させる。
二人は結局仲が割れるどころかさらに良い雰囲気となって歩き出していく。
当然ジルにとっては面白くない。
「ぐぬぬぬ…ッ。ここはジャンヌの優しさに救われましたね。しかし、次は私の海魔達の出番。今のうちに神に祈っていなさい!」
捨て台詞を吐きながらジルは次の仕掛けの準備に入っていくのだった。
『“ペルシャウォーズ”……なんだろ、これ』
「乗り物に乗りながら物語を体験していくタイプのアトラクションみたいですね」
『せっかくだし、見ていく?』
「そうですね。行きましょう」
名前が気になり中に入るぐだ男とジャンヌ。
説明を受けてからバギーに乗り込むとバギーが砂漠の中を動き始める。
勿論、セットであるがその臨場感は本物にも劣らない。
「凄くリアリティがありますね」
『うん。砂とか風とか海魔とか……海魔?』
明らかに砂漠には似合わない生物の姿に言葉を失うぐだ男。
心なしか海魔の方もダレているような空気を漂わせている。
しかし、命令には逆らえないのかバギーに向かって襲い掛かってくる。
『何か武器はない?』
「そう言われても……待ってください。誰かが来ます」
演出だとは思っても取り敢えず戦おうとする二人。
だが、そこに示し合わせたように何者かが現れ矢を放つ。
次々と海魔の体に突き刺さっていく矢の雨。
まるで本物のように断末魔の叫びをあげて消えていく海魔を見ながらその人物は現れる。
「大丈夫か、あんた達」
『あなたは?』
「俺か? 俺は東方の大英雄アーラシュだ!」
ニカッと笑い名乗りを上げる男性、アーラシュ。
ジャンヌの近所に住む文系大学生ではあるがここでは大英雄である。
夏休みのアルバイトで働いているのだが、今は誰が何と言おうとも大英雄である。
「俺は光の神アフラ・マズダーの命を受けて封印された大魔王アンリ・マユの復活を阻止するために戦ってるんだ」
『さっきの敵はアンリ・マユの支配下?』
「そのはずなんだが……初めて見る奴だったな」
『まさか、アンリ・マユの力が強まって…!』
「ああ、可能性はあるな」
劇だと分かっているからかノリノリで世界観に入り込んでいくぐだ男。
そんな彼に話を合わせながらアーラシュは打ち合わせと展開が違うことに内心で首を捻る。
しかし、深く詮索はせずに物語を進めることにする。
何かあれば自分がどうにかすると決めながら。
「とにかく、ここは危険だ。戻った方がいいぜ」
「ですが、そのようなことを放っておくわけにはいきません」
『俺達も手伝わ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ