プロローグ
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青春とは嘘であり、悪である。
青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺く。
自らを取り巻く環境のすべてを肯定的に捉える。
何か致命的な失敗をしても、それすら青春の証とし、思い出の1ページに刻むのだ。
例を挙げよう。低能力者の不良集団であるスキルアウトは、窃盗、暴行を繰り返す。それを「若気の至り」と呼び、
能力開発でいい結果がでなければ、それを学校のせいや、周りのせいだと言い出す。高位能力者は、ただただ能力が低いからという理由だけで、人間性やその他を見ることもせず低能力者を蔑み、見下し、悦をえる。そのことが、スキルアウトなどを生み出すということに全く気付かず、いつまでも被害者面している。
そして、彼らや先生達は、それを青春だ。いい思い出だ。などと、見当違いな言葉を叩き出す。学園都市の生徒達は自分達の失敗に気づかず、いや、気づいているが、それを青春の一ページというもので処理し、自分達を肯定する。だが、自分たちの失敗は遍く青春の一部分であるが、他者の失敗は青春ではなくただの失敗にして敗北であると断じるのだ。
彼らにとっては、失敗も間違いも青春のスパイスでしかないのだ。
仮に失敗することが青春の証であるのなら、友達作りに失敗した人間もまた青春ど真ん中でなければおかしいではないか。
しかし、彼らはそれを認めないだろう。
なんのことはない。すべて彼らのご都合主義でしかない。
なら、それは欺瞞だろう。嘘も欺瞞も秘密も詐術も糾弾されるべきものだ。
彼らは悪だ。
ということは、逆説的に青春を謳歌していない者のほうが正しく真の正義である。
結論を言おう。
青春を楽しむ愚か者どもよ。
砕け散れ。
「比企谷、HRででた作文の題名はなんだったじゃん?」
俺の作文を職員室で読み、聞いていた周りをどんよりさせたこの教師は、黄泉川愛穂というアンチスキルをやっている体育教師である。
「中学生活を振り返って、とこれからの高校生活への想いですね」
「それがどうやったらこんな犯行声明文になるじゃんよ?」
黄泉川先生が作文を自身の机に乱雑に放り投げる。こちらを見るその視線には呆れが多分に含まれていた。
「比企谷ちゃんはちょっとマイナス思考すぎるのです」
会話に入ってきたのは、俺のクラスの担任である月詠小萌という小学生にしか見えない都市伝説化している教師である。
「いや、近頃の高校生は大体こんな感じじゃないですか?」
「舐めた口きくんじゃないじゃんよ。小僧」
「いや、そりゃ先生の年から見たら俺なんか小僧ーーー」
それを言おうとすると、横に凄まじい速度で拳が飛んできた。ビュウゥン、と風を切る音がした。さすがアンチスキル。
「それ以上口にすると、教育的指導がはいることになるじゃん?比企谷?」
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