暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜漆黒の剣士〜
第29話 「憧れと感謝は程々に」
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力があるらしいのに詳細不明。最近になってまたチラホラ噂が飛び交い始めてるみたいだけど……」

 …………。
 ………………。
 ……………………アバターの特徴並びに通り名、ロケテストから今に至るまでの経緯。どれから推測しても小野寺さんの探している人物はひとりしかいない。

「どこかのショップに所属してるって話は聞かないし……いったいどこの誰なんだか」
「いったいどこの誰と言われましても」
「ご、ごめんなさい。シュシュシュテルさん、は毎日のようにたくさんの人とデュエルするから分かりませんよ、ね」
「いえ、そうではなくて……あなた方の話に嘘がないのであれば、あなた方はすでに目的の人物に会ってますよ。今も私の隣に座っていますし」

 シュテルが言い終わると、ふたつの視線が静かに彼女から俺の方へと移される。もしも俺がレヴィのようなタイプだったならば、ここで颯爽と名乗りを挙げていただろうが……俺がしたのはバツが悪そうに顔を逸らすことだけだ。

「え……ええええっと、ややや夜、月さんがしししし漆黒の……!?」
「ふむ……どうやらまだ信じらないといった様子。ならば証拠を見せる他にありませんね。ショウ、あなたのカードを出してください」
「そこまでしなくても信じてくれそうなんだが。それに……分かった、分かったからそれ以上近づくな」

 無表情な人間が迫って来るのはなかなかに圧迫感があるのだから。もし仮にこれがレヴィだったならば顔を鷲掴みしているだろうし、八神堂の主だったならばでこピンやらチョップを撃ち込んでいただろう。
 ブレイブホルダーから愛用しているアバターカードを取り出してシュテルに渡す。シュテルに渡したのは直接小野寺さんに渡すのが気が引けた、というわけではなく……単純にシュテルとの距離を元に戻すためだ。

「……そういえば、私はあなたのアバターカードを持っていません。予備のカードがあるならください」
「なあシュテル、お前は何のために俺にカードを出させたんだ?」
「問題ありません。会話しながらでもカードを彼女の方へ差し出すことは可能ですから」

 それはそうだけど、人に何か渡すときはちゃんと相手の方を見て渡しなさい。人と話すときは目を見て話すことも大切だけど、今に関してはそこまで俺を優先しなくていいから。

「ま、ま……まままま間違いない! わ、私が探してた……うううそ、まさかこんな偶然って……。し、しかもシュテルさんと一緒にだなん、て!? あわわわ…………」
「え……お、おい紗耶! ここで気絶は不味い……おい、しっかりしろ。気をしっかり持て!」
「……こうなるかもしれないから出したくなかったのに」
「出していなくても同じだったと思いますがね。さて、彼女が落ち着くためにもいったん私達は離れた方が良いでしょう。何か
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