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魔法少女リリカルなのはINNOCENT 〜漆黒の剣士〜
第29話 「憧れと感謝は程々に」
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常に頂に居続けデュエリスト達の壁であり続けようと思えるのです」
「シュテル、そこまでにしとけ」
「何故です?」
「この人はお前の言動で一喜一憂している。つまり、お前から色々と言われたら喜びのあまりさっきみたいなことが起きておかしくないわけだ。何より……普段無表情なお前の笑顔はギャップもあって可愛過ぎるからこの人は昇天しかねん」

 また気絶でもされたら面倒なことこの上ない。
 それに今日は帰るまでシュテルと一緒なのだからシュテルをグランツ研究所に送り届けるまでは何が起こってもおかしくない。故に……可能な限り体力や精神力は残しておかなければ。俺が生きて帰るためにも。

「か、可愛い……そ、そうですね。王者のチームの一員があれこれ言い過ぎてしまうと、貫禄や風格を疑われてしまうかもしれません。我が王たるディアーチェにも迷惑を掛けてしまうかもしれませんし、ここは大人しくあなたの言うことに従うことにしましょう」

 ……こいつ、照れてる?
 いやいやいや、確かに俺はシュテルの笑顔は可愛いといった発言はしたけれども……俺よりも小野寺さんに比重を置いての発言だったと思うのだが。照れさせようと思って口にした言葉でもないし。
 シュテルは俺に対して最近自分に対する接し方がおかしいなどと言っていた気がするが、むしろシュテルの方が俺に対する反応がおかしいのではないだろうか。今のだってこれまでなら

『可愛い? 褒めても何も出ませんよ』
『それはナノハも可愛いと言っているようなものですよ。今度彼女に会った際に言っておきましょう』

 みたいに答えているはずだし。これが続くようなら……今度ディアーチェにも相談することにしよう。この手のことはあいつを頼るに限る。

「ただ……紗耶の話には続きがあって、紗耶にはスタークスさん以外にもうひとり会いたいデュエリストが居るんだ」
「もうひとり? シュテルとのデュエルを見てブレイブデュエルをやりたいって思ったんなら少なくとも上位のデュエリストでしょうね。アバターの恰好や使う得物の特徴とか分かったりします? ロケテスト時の上位者なら知り合いに結構いますから分かるかもしれません」
「特徴ね……簡潔に言えば、漆黒のロングコートを着てる二刀流の少年だな」

 漆黒のロングコートに二刀流。その特徴のアバターを俺は知っている。
 とはいえ……世の中は広くデュエリストの数は今ではロケテスト時の比ではない。もしかすると俺の心当たりとは別人の可能性もあり得る。ここはもう少し様子を見るべきだろう。

「も、もっと詳しく言うなら……黒と白の長剣を持ってて、通り名は《漆黒の剣士》。多分年齢はシュ、シュテルさんと大差はないと思、う」
「ロケテストの時は噂になってたみたいだけど、本格稼働してからはスタークスさんと同等の実
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