SIDE:A
第九話
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流石の妾も主の狙音伝話術は聞き取れんからな。しかし、お主もなかなか人間離れしてきてるの」
「そんなことないさ。まだまだ人間の範疇だよ」
俺とクーちゃんの会話がなにを意味しているのか分からない皆は首を傾げる。ちょっとこの話を解説するわけにはいかないからここで切り上げるとしよう。
先ほどの実技テストで山大に喋った言葉は第三者には聞かれていない。俺の狙音伝話術は肺を振動させることで声を特定の人だけに聞こえるように超音波へ変えるという技だ。これを使えば他のものに知られることなく会話を行うことが出来る。ちなみにどうやって肺を震動させているかと言うと、気合いだ。為せば成るの精神で気合いを入れて練習した結果、いつの間にか出来るようになった。ガイ師匠の熱血論は意外と馬鹿にならないと感じた瞬間でもある。
そうこうしているうちに次々と実技テストは進み、とうとうヒナタの番が回ってきた。
「次、日向ヒナタとタラ!」
「は、はいっ」
ビクッと緊張のあまり体をビクつかせるヒナタ。このままだと上手く実力を発揮できないんじゃないか?
なんとか緊張を解せないものか。よし、ここは一発芸ネタで……!
汐音たちにジェスチャーで静かにするようにサインを送り、パパッと印を組む。
(無音影分身の術)
分身時に発生する煙と音を消した、影分身の派生である無音の術。そして、分身に無音変化の術を使わせる。
あるものに変化した分身体を頭にセット。コートの前を閉じて、ちょっと位置をずらして、と。
変な目で見てくる汐音たち。ギャラリーの視線を無視してヒナタの肩を叩いた。
「ヒナタヒナタ」
「え、え? な、なにハルトくん」
「首取れちゃったー」
「きゃあぁぁぁぁぁ――――ッ!?」
頭部に化けた分身体を持ち上げて擬似的に首が取れた風に演出。もちろん本体の俺は頭が出ないように服の中に隠れていた。
結構完成度の高い一発芸ネタ『ビックリー、首取れちゃった(子供向け)』だ。大人向けバージョンだとさらにリアリティを追求して、分身体の首の切断部から血糊を垂らすというパフォーマンスもあるけど、それだとヒナタは失神しかねないからな。
それでもヒナタにとっては衝撃的だったようで、顔面を蒼白にして口元を手で覆っていた。
「……ごめん、やりすぎちゃった。ビックリした?」
ちょっとショッキングだったかな?
しばらくして正気を取り戻したヒナタちゃんは珍しく目を吊り上げた。本人は精一杯怒っているつもりだろうけど、ぶっちゃけ可愛いだけです。
「も、もう! ハルトくんっ」
「お兄
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