SIDE:A
第九話
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気絶すると同時に限界まで溜めたエネルギーを解放する。中指はバネのように勢いよく放たれ、山大の額に直撃した。
――バゴォォォオオオオオン!!
爆音を響かせながら弾かれたように大きく仰け反る山大。放物線を描きながら数十メートル吹き飛んだ。
デコピンとは到底思えない威力にギャラリーたちは開いた口が塞がらない様子。審判のイルカも例外ではなかった。
ただ一人、九喇嘛だけは笑いを噛み殺していたが。
「先生?」
「あ、ああ……。勝者、うずまきハルト!」
勝者の名前が挙がっても、場は静寂が支配していた。
ハルトと山大の戦いが影響してかその後のテストも妙な緊張感が付き纏い、どこか緊迫した模擬戦となった。
† † †
俺の超デコピンを受けた山大は大の字になって伸びており、救護室に運ばれていった。
ちょっとやりすぎたかなと思わなくもないが、アイツは俺の大切な人をやましい目で見てたのだから妥当な結果だと結論付けた。
汐音たちの元に戻ると、我が妹はキラキラした目で出迎えてきた。
「お兄ちゃんお帰り! すごかったよ! 睨んだだけで動きを止めたり、デコピンで吹っ飛ばしたり!」
「ハルトって強いのね! 驚いたわ」
「う、うん。その……格好良かった」
汐音、いの、ヒナタがやって来ては黄色い声を上げるのを周りの男子たちは歯軋りしながら見ていた。その様子がモテない男子の怨嗟そのものなのが、少しだけ涙を誘った。
シカマルたちもやって来た。
「おうお疲れ。なんだよあのデコピン」
呆れたように言うシカマルに肩をすくめる。
「デコピンはデコピンだよ。まあ超痛いけどな」
「あんなデコピン洒落にならないよ……」
ポテチを食べながら嫌そうに顔を歪めるちチョウジ。
その隣でずれたサングラスを中指で押し上げたシノが相変わらずクールな口調で言った。
「ハルトなら別段驚くことではない。何故ならあの九尾を使い魔にした男だからだ」
「まあ当然の結果じゃろう。この妾が認めた唯一の主だからの!」
シノの言葉に誇らしげに胸を張るクーちゃん。自慢されているようで少し気恥ずかしい。
「それにしても優しいのぅ主よ」
悪戯的な笑みを浮かべて肘でつついてくるクーちゃん。
その笑みに嫌な予感がした。
「他の者は狙音伝話術で主がなにを言ったのかは分からんがな。優しいことよのぅ」
「読唇術か?」
「うむ。
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