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NARUTO〜サイドストーリー〜
SIDE:A
第九話
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嘛が意外そうな顔で主の妹を見た。


「ほぅ。汐音は主の気当たりを感じるか」


「気当たり? なにそれクー姉」


「うむ。今お主が感じているのは主が発している気による威圧じゃ。主や激眉毛ほどの気を扱う者ならば、気当たりで相手を牽制したり、場合によっては戦意を殺ぐことも可能じゃ。どうやら主はあの童だけに気を集中して威圧しておるの。他のものからすれば奇妙な光景に見えるじゃろうて」


 九喇嘛の言う通り、ハルトは目の前の少年にだけ気当たりを行っていた。放散しないように集中的に気を流しているため、第三者には分かりづらい。九喇嘛の解説に汐音やヒナタ、何気に聞き耳を立てていたいのは感心した様子でハルトたちを見た。


「ハルトくん、すごいね……」


「さすが汐音のお兄ちゃんだってばさ! いけー! やっちゃえってばさ!」


 頬を赤らめてどこか熱い視線を送るヒナタと、その隣で汐音は「行け行けゴーゴー!」と腕を振り上げた。


 やれやれと首を振りながらもどこか楽しげに主の模擬戦を見守る九喇嘛。人知れず聞き耳を立てていたいのは心の中で黄色い声を上げた。


(ハルトってこんなに強かったの? 火影様のご子息で容姿は抜群。性格もいいし、本当優良物件よね。なにがなんでもものにするのよ山中いの!)


 ハルトは淡々と歩を進めていた。いつもの朗らかで柔和な雰囲気は微塵もなく、能面のような無が顔に張り付いている。


 そして、ジッと山大の目を見ながら独白するように呟いた。


「お前は俺を怒らせた。俺を前にしてふざけたことを抜かしたお前を許せそうにない」


「な、なに言ってるんだ?」


 後ずさりながら困惑する山大。戸惑った様子を見せる山大に構わずハルトは言葉を続けた。


「汐音やヒナタ、山中を下種な目で見た挙句、糞のような想像をした。許しがたい。非常に許しがたい」


 ついに山大の目の前に立ったハルトは低く凄みのある声で言った。


「覚悟は出来てるんだろうな、糞野郎……ッ!」


 ゾクッと山大の背を強烈な悪寒が走った。


 死神に睨まれたような感覚。まさに"死"が目の前に迫っているような、そんな感覚。


 明言し難い恐怖に叫びそうになるが、ハルトの壮絶な気当たりにより体が動かない。ただ無意味に口をパクパクと開閉するのみだった。


 スッと差し出す手。中指を丸めるように折り曲げ、親指でエネルギーを蓄える。俗にデコピンと言われる行為。


 そして――。


「ぶっ飛べ」


 一瞬だけ闘気ではなく殺気を向ける。氷の刃のように鋭く体の奥まで凍える殺気はピンポイントで山大だけに向けられ、その意識を刈り取った。


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