SIDE:A
第九話
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くなる?
俺の大切な人たちを脳内で汚したっていうのか?
この俺を前にして?
――許さん……。
こいつはダメだ。こればかりは。いくら温厚な俺でも流石に堪忍袋の緒が切れてしまった。
正直、軽い怪我で済まそうと思っていたが、予定変更だ――。
(こいつは半殺しにした上で、忍になる志をここで潰す)
俺にとって汐音とヒナタは両親も含めて何よりも大切な人たち。男として美少女に目が行くのは分かるが、それをわざわざ俺の前で言いやがった……。
てめぇは無自覚のうちに俺を完全に怒らせた。その報いを受けてもらうぞ……っ!
「準備はいいな? では、始めっ!」
イルカ先生の合図を区切りに、殺意の変わりに闘気を練り始めた。
† † †
「準備はいいな? では、始めっ!」
「ハッハー! 先手必勝だぜぇ!」
イルカの声と同時に山大が駆け出す。しかし、それも最初の散歩まで。突如、怒涛の威圧感が山大の身を襲った。
まるで滝のように叩きつけられる威圧感。質量を伴っているのではと勘違いしそうなほどそれは重く、山大の体をその場に押し留めた。
威圧感の発生源は、眼前の少年。
三つ年上とはいえ見た目は山大と変わらぬただの少年だ。しかし、その体から陽炎のように立ち上るオーラは一体なんだ? この滝のように浴びせてくる威圧感といい、本当に同じアカデミー生なのか?
ハルトは無表情でジッと山大を見つめるだけ。それなのに、山大の顔には冷たい汗がにじみ出て頬を伝う。
大して体格差はないはずなのに、ハルトの体が見上げるほど大きく見えた。
「……どうした? 来ないならこっちから行くぞ?」
動けないで固まってしまっている山大はゆっくりと近づいてくるハルトに言い知れぬ恐怖感を覚えた。
ギャラリーの生徒たちも、それまでのスピード感溢れる体術の応酬とは一転して、静謐と言ってもいいほど静かでゆっくりと動く状況に戸惑っている。
傍から見ればハルトがただ歩いているだけのように見えるのだ。しかし、近寄ってくるにつれて山大の顔が恐怖で引き攣っていく。尋常じゃない緊張感を味わっているのが誰の目で見てもわかった。
審判をしている中忍のイルカも何が起きているのか分からず困惑していた。
「ね、ねえ汐音ちゃん。ハルトくんたち、どうしたのかな?」
「んー、汐音もわかんない。なんかお兄ちゃんからピリピリするのは感じるけど……」
汐音のその言葉に腕を組んで眺めていた九喇
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