第一話 遭遇
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フが振り下ろされていれば。動転するのも当然と言える。
街頭を反射して、ギラついた鈍色の輝きを持つその刃を、握る手の先には黒いフードを被った男がいる。顔立ちは分からないが、その口許が苛立ちに歪むのを、雫は確かに見た。
「邪魔を………。」
間に割って入った霄に男は視線を向ける。その瞳は、紫色の濁った様な光を放っていた。
「するなぁ!!」
怒声と共に男は霄に殴りかかる。まともに受けた霄はそのまま“十数メートル”水平に吹き飛ばされた。
常軌を逸したその光景に、雫はただただ唖然とするしかなかった。本能がひたすらに逃げろと訴えるが、意に反して身体は緩慢にしか動かない。
男の眼が雫に向けられた時、その奥にある愉悦を感じ取った雫は、最早動くことも叶わなくなっていた。
「邪魔者は消えたし……さて、君はどんな断末魔を聴かせてくれるかな?」
男の、心底愉しそうなその声の一音一音が、雫の心に絶望を刻み込んだ。
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