第一話 遭遇
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陽も沈み、闇の帳が降りた住宅地を一組の男女が歩く。並んで歩いてはいるが、両者に会話はなく、少年は何か考え込みながら、少女は全くの無表情で、ただ淡々と歩いていた。
(どうしてこうなったのか……?)
少女―――霧島雫は心の中でそう呟き、溜息を吐いた。隣を歩く少年―――峰雲霄はどちらかと言えば嫌っている方の相手だ。向こうもそれを察しているのか、一年生の時から同じクラスだが、会話はいつも必要最低限の物だった。決して、二人で帰るような関係ではない。
雫は色恋沙汰には疎い自覚があるが、それにしたってこの峰雲霄という得体のしれない男に限ってそういう方向を求めて接して来たのでは無いことは容易に想像がついた。こうして曲がりなりにも向こうの誘いに乗ったのは、その真意を確かめるためでもあった。
と、その霄が口を開いた。
「最近の通り魔って……どう思う?」
「どう……とは?」
「ああ、言葉が足らなかったな。犯人はどんな奴だと思う?」
「……何でそんなことを聞くの?」
「何となく。」
「………。」
霄は自分の思考を滅多に他人に知らせない。その軽い性格も相まってか、多くの人は彼を深く考えないタイプだと思っているが、実際はかなり計算深く、強かだ。雫は何度かその片鱗を見ていた。だからこそ彼を避けているのだが。
雫は心の中で再び溜息を吐くと会話に応ずる事にした。何をしたいのかは知らないが、意味の無い事はしない相手だと分かっていた。
「多分複数犯。その割には目撃者がいないのは奇妙だけど。」
「またどうして?」
「手口よ。四肢を引き裂くなんて一人じゃ無理でしょう?」
「二人や三人でもたいして変わらないと思うけどね。」
「……それなら、あなたは?人にだけ訊いて、自分は黙り通すつもり?」
「……そうだな。俺は単独犯だと思う。四肢を引き裂くより、目撃者0の方が数倍異常だ。単独犯なのは多分間違いない。」
「人間が一人で手足を引き千切るなんて無理よ。」
「……………人じゃなかったら?」
「は?」
「犯人。人じゃなかったらどうだと思う?」
雫は数秒間、霄の言う言葉の意味が理解できなかった。次いで怒りが沸いてきた。こんな下らない妄想を聞かせるためについてきたのか、と。
「下らない。熊か何かだとでもいうの?そんなふざけた話しは5歳児としてきて。」
雫はそれだけ吐き捨てると歩調を早め、先に帰ろうとする。
しかし、最初の角を曲がろうとしたその瞬間、いつの間にか真後ろにまで来ていた霄がその腕を掴み、思いっきり引き戻した。
「きゃっ!?………っ、何する…………の………よ………?」
怒声を上げかけて固まる雫。無理も無いだろう。さっきまで自分のいた位置にナイ
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