第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#17
DARK BLUE MOON\ 〜End Of Sorrow〜
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、この世界の誰よりも、深く。
「……だから、言いたいコトや、して欲しいコトがあるんなら、ちゃんと言えよ?
オレも、言われなきゃあわからねーから、よ」
(!!)
俯いているため学帽の陰に紛れてその表情は伺えないが、
片手を制服のズボンに突っ込んだ青年は、深長な声でシャナに告げる。
「何かあったら、すぐに呼べ。いつでも、どこへだって行ってやっから」
「ぁ……」
突如、身体中に電流が走ったかのように強烈な、
しかし今日何度目か解らなくなった甘美なる衝撃で少女は絶句する。
“そういう意味だったのか”
今朝、自分に背を向けて言った事の真意は。
それなのに、勝手に誤解して一人で思い悩んで。
ただ、信じれば良いだけだったのに。
「……」
熱に染まった頬と、微かに潤んだ瞳で自分を見つめる少女。
ソレとは視線を混じ合わせぬまま、
「じゃあ、な。シャナ」
そう言って承太郎は部屋の中へと消えていく。
静かに閉じるスティール製のドア。
「……」
その前でしばらくの間、少女は放心したように佇んでいた。
【2】
狂猛なる紅世の王 “蹂躙の爪牙” のフレイムヘイズ 『弔詞の詠み手』 は夢をみる。
かつて、何の能力も持たず、ただ掠奪され、凌辱を受け、
骨の髄まで毟られるのみだった、忌まわしき記憶。
どれだけ時を経たとしても、決して消えない、色褪せるコトも在りはしない。
大事なモノ等、何一つ存在しなかった。
人間としての尊厳など、既に跡形もなく叩き潰された後の、家畜以下の扱い。
どんなに長くても、25までは決して生きられないというこの世の地獄。
その腐りきった欲望の掃き溜めの中で、人を憎み、世界を憎み、スベテを憎み、
そしてソレ以上に、何も出来ない無力な自分を憎んできた。
『そうでもしなければ生きられなかった』
そのような最悪よりも更に劣悪な状況下で一体何の為に生きているのか?
ソレを問う余力すらも奪われ堕ちる所まで堕ちたと想っていた。
腐れた人間の屑共に躰も心も余すコトなく蹂躙し尽くされ、
路傍に転がる塵以下の存在になったのだと。
残酷な 『不条理』 で充ち充ちた 「世界」 とは “そういうものなのだと”
ずっと自分に言い聞かせてきた。
アノ日、 アノ時、 “アノ娘” に逢うまでは。
彼女の名前は、 “ノエル・ル・リーヴ”
柔らかな栗色の髪と沁み渡るようなアイスグリーンの瞳が印象的な、
まだ年端もいかない容貌の少女。
貧困か、それとも別の理由か、彼女は大き過ぎる娼館着に
その意味も解らず袖を通し、不安そうな眼差しをこちらに向けていた。
醜い獣以下の “奴等” から自分に与えられた 『仕事
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