第10節:騎士王再来
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わね?」
「ああ勿論だ!」
俺は召喚のための詠唱を開始する。
決意とともに俺は言う。
手をかざす。
そして唱える。
唄うように。
祈るように。
再会の狼煙は高く上げられた―――。
「―――素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。祖には我が大師シュバインオーグ―――」
ぼう、と陣に光が燈った。
風が、吹き荒れていた。
巻き上がる烈風。渦を巻き、指向性を持った大気は刃となって土蔵に吹き荒れる。
「す・・・・・・すごい・・・・・・ッ!」
眩いばかりのエーテルの発光と吹き飛ばされそうになる魔力の烈風に、たまらず私は身を屈め、組んだ両腕で顔を覆う。
しかし――――決して、決して眼を閉じることは無い。力強い魔力の輝きに視界を焼かれながらも、私はその両の眼を開き、煌く陣と、まっすぐに伸びた士郎の背を見つめる。
「――――――告げる!」
其れは誓約。其れは誓いの詞。
常勝の王を、星の内部にて生み出されし人の希望の収束体であり最強の幻想である最強の聖剣の使い手の御座より呼び出すための宣誓の詞。
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に!
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」
狂ったような力の奔流。常人であれば卒倒しかねない。土蔵どころか衛宮邸そのものを破壊しかねないような暴力的な力。しかし当然だ。今から呼び出すは無窮の王。理想の王、そして神代と幻想の最後に立った王。彼のキング・アーサーに他ならない。これほどの反応はむしろ自然と言えよう。
力は収束する。ある一点に。その王の到来に―――。
最後の一説を全霊で以て謳い上げる。
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
力は、形を成す―――。
ふわふわと漂う魔力の残留。漂う砂埃。
「問おう―――――――――‐」
だがそれらも、強大な神秘の具現を前に霧散する。
「うわぁ・・・・・・」
思わず、知らず知らずの内に、少年達はため息を漏らす。
知っていても――――いや、言っているからこそこの神秘は信じがたいのだ。清廉にして圧倒的。人域では無い、神域の神秘の具現が、少年達の目の前に現れる。
月光をそのまま体現したような、金の髪。
エメラルドにも負けない零れる様な、翠緑の瞳。
蒼で彩られたドレスとミニスカートと、白銀の甲冑。
そして両腕を包む、薔薇のように赤く、無機的なフォルムをした籠手。
彼方より来たりし者がまっすぐに士郎と凛を見て―――――――――少し
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