第10節:騎士王再来
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める。
「先輩……ちょっとだけよろしいですか?」
「ん、いいぞ?料理の片手間で悪いな」
「いえ、お気になさらずに。で、本題なのですが。これだけ大きなお家に、先輩はおひとりで住んでおられるのですか?」
「え、そうだけど。なんで?」
この場合のなんでは、なぜそう思ったのか。という意味合いである。
士郎はマシュに初見で見抜かれたことに驚きを隠せなかった。
「失礼ながら、先輩の靴をしまおうとした時に、どう考えても一人分の数しかなかったので」
「……そうだな、今でこそ大所帯だけど、それだって結局は食事の時だけだし。それに一時的に2人になったこともあったけど今は勿論そうじゃないしな。」
マシュは目を伏せ、途切れ途切れに問いかける。
「……寂しく、ないのですか?」
その問いになんと答えるべきか、と悩んだ後、素直に答えてしまうことにした。
「……うん、そうじゃないと言えば嘘になる。けどさ、今はそれどころじゃないかな。」
「何故、でしょうか?」
料理を続けながら、士郎は遠くを見る様に想いを馳せる。
かつてのあの夜の事を。そして、かつて通り過ぎたあの戦いのことを。
「親父がな、夢を託してくれたんだよ。それに成ろうと必死になってた」
「夢、ですか……?」
「ああ……それに、前にマシュにも言ったある戦いでそれが辛いけど間違いじゃないってこともわかった。だから今の俺はそれを叶えることに迷いはない。」
「……どんな夢なんですか?差し支えなければ教えてください」
士郎は上目でこちらを見てくる少女に微笑み、自身の願いを紡ぐ。彼を救った男の夢を……
「正義の味方になる。それが借り物ではあるけど、それでも大事な、絶対後悔しない、俺の、夢なんだ…」
呆気にとられた様なマシュはその言葉の意味を少しずつ噛み砕いていってから、そして漸く心の底からの言葉を語った。
「……本当に、素敵な夢ですね」
「ありがとう。さて……出来た」
「お、いい匂いじゃねえか」
料理が出来上がると同時にキャスターが居間へと入ってきた。目敏く料理の匂いを嗅ぎつけるのは長年の経験のうちにはいるのだろうか。
「簡単なもので悪いけど、これでどうかな。」
「うわー!やっぱりお兄ちゃんのつくる料理はいつも美味しそうだね。」
「ハハ、ありがとな。」
「はい、これは…チャーハンですね。確かに美味しそうです!」
「チャーハンというより、材料少なかったし、冷凍しておいたお米を使った焼き飯だけどな、で、こっちは有り合わせでつくった味噌汁だ。」
「なんでもいいじゃねえか、美味そうなんだしよ。おい、ライダー、そこどいてくれ」
「ああ、
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