第8話:万華鏡の少女たちとの出会い、そして〜
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俺は、ずっとお前を愛してる。』
『お兄ちゃん!!』
泣き叫ぶこの娘、美遊の手を握って、祈るように呟く。ただ静かに、それだけを願うように呟く。その姿は正義の味方? 違う。ただのお兄ちゃんだ。だけど、だからこそ誰よりも優しい願いだと言える。
『悪いが付き合ってもらうぞ。俺の剣が尽きるまで・・・!』
その後、時間稼ぎのためにギルガメッシュによく似た姿をした女性との戦いで、自身の固有結界を展開する俺。
たった一人の妹の人並みの幸せの為に全てを犠牲にする決断をして、俺と同じ、自分が生きていることを何かの間違いという考えの果てに至ったその場所は、俺が至った見渡す限りの赤い空が照らす「無限の荒野」ではなく、無数の剣が墓標のように突立つ、闇に閉ざされて月も星も道も見えない「無明の雪原」だった。
俺がギルガメッシュに対して固有結界を披露した時のようなシチュエーションだが、自分自身を「間違い」と断じたからか、出てくるのは誇りある言葉ではなく美遊以外のすべてを閉ざすような言葉。この俺の決意からしたら当然の筈なのに、なんという夢も希望もない世界だ。並行世界の俺とはいえ、どうしても悲痛に映る。
そしてまた、記憶が美遊のものに切り替わる。
あれがお兄ちゃんとのあの時点での最後の会話。あの直後、私は世界を飛ばされ、夜の公園でカレイドステッキに出会った。
飛ばされた先の世界でお兄ちゃんを、いや、士郎さんに会えた時は思わず抱きついてしまった。その後すぐに、私のお兄ちゃんとは違う、この世界のイリヤのお兄さん、衛宮士郎だと察したが、それでも嬉しかった。
また、お兄さんに会える。例え私のことを愛してると言ってくれたその人でなくとも、私は彼とまた一緒に生きれる可能性がある、それだけでわたしは充分だった。
これが、私と衛宮士郎の関係。お兄ちゃんとは別人だとしても、衛宮士郎である事に変わりはない。ならばいつか、士郎さんとまた一緒に過ごせる日を夢見て。
(なるほど、あの2人は片方がイリヤでもう1人はクロっていうのか。そして2人も美遊とは別の並行世界の出身なんだな。そして2人とも小聖杯を体内に持ってはいるが封印されており、2人のいる世界の俺と平和に暮らしてると。そっか。安心した・・・)
その後もさまざまな記憶が立て続けに流れ込み、それによって俺がイリヤ、美遊、、クロのことについて基本的なことを全て理解した時、景色が霞んで光の中に消えていく。
(ああそっか、夢から覚めるんだ。)
そう理解した時、もう一度声が聞こえた、また新しい記憶が流れこむ。
さっきまでの景色から随分と時間が経過しているということが、なぜか理解できた。
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