第8話:万華鏡の少女たちとの出会い、そして〜
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腕は切断された後に移植したのか私の頭を撫でてくれたそれとは別の物になっていた。そして片手で持っているのはエインズワースが私の力を使うために作成したサーヴァントのクラスを示す絵が描かれた7枚のカード。
きっとお兄ちゃんは、私のために沢山無茶をして、傷ついて、それでも会いに来てくれたのだろう。
私はお兄ちゃんが迎えにきてくれて嬉しかったが、同時に気づいてしまった。誰かを救うには誰かを犠牲にしなければならない。私が助かるのなら、お兄ちゃんは犠牲になるのだろう。それがたまらなく嫌だった。どうして世界はこんなにも残酷なのだろう。やっと見つけた幸せも、他の誰でもない私自身のせいで失ってしまうのかと。
私はお兄ちゃんの前で泣いた。何度もごめんなさいと謝った。
お兄ちゃんは、私をそっと抱きしめると、頭を撫でてくれた。そうしてこう呟いた。
『俺はお兄ちゃんだからな。妹を守るのは当たり前だろ?』
それは・・・・・・かつて大切な家族を、姉を守れなかった今の俺にとってその言葉は、酷く俺の胸を穿つ。その言葉に、俺は頷く。そうだ。当たり前だよ。家族を、妹を守るのは、兄として当然。例えどんな奴が相手でも、どんなに危険でも、どんなことをしてでも、どんな犠牲を払ってでも、お兄ちゃんは家族を、妹を守らなければならないんだ。
俺の姉、イリヤ。血は繋がってないがそんな事は関係ない。俺は胸を張ってそう言える。これは夢だ。そんな事は分かっている。だけど、俺は妹を守ろうとして守れなかった。ならば俺は・・・・・
そして、そこから今度はこの世界の俺の視点での記憶と思しきものに切り替わる。
『どうすればよかったのか、ずっと考えた。間違い続けた俺だからこの選択も、もしかしたら間違いなのかもしれない。だけど、この願いは本物だから。』
『美遊がもう苦しまなくていい世界になりますように。優しい人達に出会って・・・・・・笑い合える友達を作って・・・・・・あたたかでささやかな幸せを掴めますように・・・』
『嫌だ!』
『もっとお兄ちゃんといっぱい遊びたい!いっぱい教えて欲しい!もっともっとおしゃべりして、ずっと一緒にいたい!!』
恐らく、これがこの娘の偽らざる本音だろう。こんな状況だからこそ必死に伝えようとしてるのも理解できた。けれど、やはり、だからなのか、この世界の俺はーーー
『美遊、愛してる。』
『私だって!私だってお兄ちゃんを愛してる!!だから!』
『いいか美遊、よく聞け。これからお前の行くところに俺は行けない。だけどな美遊、俺はいつでも、どんな場所でもお前の味方だ。こんなボロボロになってまでお前を助けにきたんだ、説得力が違うだろ?』
『生きろ、美遊。
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