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歌集「春雪花」
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 定めとて

  諦むることの

   愚かさの

 知りてや何ぞ

  意味のありなむ



 人は云う…決められた未来などないと…。
 人は云う…自らの力で未来は変えられると…。

 だから諦めると言うのは愚かなことだと云う…。

 しかし…それを知ったところで、私に何の意味があるのだろうか?

 それらは私には当てはまりようもない…。


 私はただ…独り消え行くだけの侘しさに…身を委ねるしかないのだ…。



 秋風に

  夏を惜しむや

    きりぎりす

 逢ふもなきにし

     君想いける



 晩ともなれば、もう時おり涼しい風が吹き…秋が迫っていることを告げる…。

 そんな風吹く夜に、きりぎりすが鳴いている…。

 こおろぎや鈴虫の中に、まるで立ち去ろうとする夏を惜しむかのように…。

 そんな虫の音を聴きながら…私は彼のことばかりを考え…この世の無常を思わずにはいられなかった…。




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