MR編
百四十三話 収穫の丘にて
[10/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
大変な目にもあったんですよ、と憤慨するシリカに、リズはハイハイと手を振って適当に応じる。
「でも、アスナにも色々あるだろうな、ってのは分かってたから、しばらくはほっとくつもりだったのよ……だけど、今日はさ、ユウキも、ちょっとそんな感じだった」
「ぁ、えと……」
どこかショックを受けたような、申し訳なさそうな顔をするユウキに、しかしリズは、屈託なく笑顔で返す。
「そりゃ、初対面だし、多少ぎこちないのは仕方ないけど、でもアンタの顔、自覚無かったみたいだけどずっと辛そうだったのよ……で、今から友達になろうって子がそんな顔をしてるってのに、ほっとくわけにも行かないじゃない?だから、ちょっと強引な方法を取っちゃったってわけ……でもまぁ、とりあえず、盗み聞きしたのは謝るわ……ほんと、そこはごめん」
「……うぅん、私の方こそ、ごめんねリズ……ずっと心配かけてたんだね……」
申し訳なさそうに、それでいて心から嬉しそうに、アスナはその声をはきだしていた。その顔を見るとちょっとだけ照れくさそうに身をゆすって、リズは肩をすくめる。
「そんなの、前の頃からずっとよ。もう慣れっこ、でも、偶にはちゃんと頼んなさいよね?抱え込むばっかに出来るほど、アンタ脆くないわけじゃないんだから」
「うんっ……ありがと……」
「…………」
いつものように、暖かく照らす陽のような笑顔でそう応じるリズは、次に、黙り込んでしまったユウキを見る。
「……いい?ユウキ」
「は、はい……」
「あー、ったくもう……はいはい、緊張しないの、肩の力抜いて、別に叱りつけようってんじゃないんだから」
「そうですよ、ちょっとドスが聞いてますけど、リズさんも私も、ユウキさんに言いたいこと、ちゃんと決めてきたんですから」
「ドスが聞いてるは余計よ」
ぺしっとシリカに向かって突っ込んでいる様子に、ユウキの緊張も少しはほぐれた様子だった。幾らか険の取れた顔で、再び彼女は二人を見る。
「とりあえず、そんなに言いたいことがあるわけじゃないわ………アタシ達はアスナが、色々隠し事しててもちゃんと信じられる娘だって知ってるし、人を見る目があるって事も知ってる。だから別に、ユウキやアスナの隠し事を、無理矢理でも明かしてほしいって訳じゃないしね?」
「うん……」
「でもね?これだけは知っておいて。アタシ達は、たとえそれがどんな事実でも、ちゃんと受け入れるつもりで此処にいるってこと」
「…………」
ユウキの目を真っすぐに見て、真剣な様子でリズは語る。
「アンタやアスナが何を語っても、アタシ達はちゃんと受け入れて見せる。だからもし、ユウキが自分の隠し事をアタシ達にぶつけるか迷ってるなら、迷わず思いっきりぶつけてきなさい!それがどんな剛速球だろうが大玉だろうが、きっちりキャッチして、そ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ