MR編
百四十三話 収穫の丘にて
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ういうのじゃないんです!!」
シウネーのいろいろな誤解を解いて採取を再開するのに、リーファはたっぷり、十分の時間を要した。
────
「アスナ―!沢山取れたよ!」
「どれど……わぁ!?ちょ、多いよ!?重くないの!?」
元気な声を聞いて、微笑みながら、振り返る。と、そこにはユウキ……の、脚が生えたキャベツの山が屹立していた。目を剥いて問い返したアスナに、はじけるようなハスキーボイスでキャベツ……もとい、ユウキが答える。
「全然へっちゃら!!それより、鑑定お願い!ボクまた次のやつ取ってくるから!!」
「こ、こんなに一気に?」
「うん!大丈夫!取る方はボクにまっかせて!!」
言うと、ユウキは一気にぴゅーっと飛び出していく、なんというか、あわただしい。
「……?うーん……」
その様子に首を傾げながら、アスナは持ってきた野菜を見る。と……
「これ……」
────
数分後、またユウキが戻ってくる。
「アスナ!取ってきたよ!」
「あ、うん……ねぇ、ユウキ?」
「よぉっし……え?なぁに?」
「その……もしかして、何か考え事してない?」
「えっ、と……」
どうして?というような顔をするユウキに、アスナは苦笑してユウキが持ってきたキャベツを取り出す。葉がしおれ、虫食いが起きた、明らかにダメなキャベツだ。普通にちゃんと選んで取っていれば、こんなものを取ってくるわけがない。かといって、ユウキが真面目に採集を行う気が無いというわけではないのは、アスナだって分かっていた。ユウキは、このバーベキューを本当に楽しみにしているのだから。つまり……
「あ……」
「ユウキ、とにかく動いて、よく見ないで手当たり次第に取ってきてるよね?採取に集中できない理由が、あるんじゃないかなって」
「…………」
叱られた子供のようにシュンと頭を垂れて、途端にユウキは大人しくなった。先ほどまでの元気も、少し無理をしているようにアスナには見えた……彼女には何か、別に心配事があるのだ。そしてアスナはそれを放っておくべきではないと感じていた。
「アスナ、ボク……ボクのせいで、アスナがリョウさんと喧嘩したんじゃないかって……」
「……そっか、やっぱり、その事だったんだ……」
何となくは、察しがついていた。ここに来てからユウキの様子がおかしくなったのだ、その前に会ったことと言うと、やはり、先ほどのリョウとの会話の様子が、ユウキには気になったのだろう。確かに、アスナとリョウの関係がぎこちなくなった最初の原因は、ユウキがきっかけだったといえなくはない。だが……
「あのねユウキ、聞いて?」
「……うん」
声のトーンを真剣なものにして、ユウキの肩に手を当て、アスナはゆっくりと話し始める。
「確かに、私とリョウはこの前ちょっ
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