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SAO─戦士達の物語
MR編
百四十三話 収穫の丘にて
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とはできなかった。


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プーカ領、グリーン・スペンソニア
緑の楽園と呼ばれるこの一帯は、目立ったアクティブモンスターが出現することもほぼなく、その全域が、草原と背の高い林、背の低い果樹の森と、畑で構成されたエリアだ。その情景からもわかるように、多くの野菜や果物と言った食材アイテムを入手することが出来、フリーの野菜狩り、果物狩りツアー会場のようになっている。

しかし、とはいえそれらの食材は誰かが育てているというわけではなく、全て自動的にポップするものなので、当然品質が一定というわけではない。例えば……

「「すっぱぁいぃ!!」」
「あーあー、もう、何してるのよユウキ……」
「だからちゃんと鑑定してからにしなさいって言ったでしょうが……ッていうか、採りに来たのに食べてどうすんのよシリカも」
わきの背の低い木に巻き付いたトマトをかじったユウキとシリカが、目をバツマークにしながらそろって口をすぼめるのを見て、アスナがやわらかく笑い、リズが呆れたように肩をすくめる。
このフィールドに生えている植物たちは、見た目は熟したおいしそうな果実や野菜でも、その品質と味にかなりのばらつきがある。そして勿論、こういった採取アイテムの慣例に乗っ取るように、上質でおいしいものよりも、低品質であまりおいしくないものの方が多い。その少数あるおいしいものは、勿論、それ自体の見た目からでも多少なら見分けが効くが、正確に見極めるためには……

「ふふっ、はい、二人ともこれどうぞ」
「い、イチゴですか?」
「こ、これも酸っぱかったり……」
「ちゃんと見たから大丈夫。どうぞ?」
差し出したイチゴに、おずおずと手を伸ばした二人が、南無三!と言わんばかりの表情でそれにかぶりつく。と……

「あ、あまひぃ〜〜」
「さわやはぁ……」
途端に笑顔になって頬を抑え、くねくねし始めた。
上質な物を見極めるには、それなりの熟練の目利きの技……を、スキル化した《鑑定》のスキルか、料理人としての食材を選ぶ経験と勘……を、スキル化した《料理》のスキルが必要になる。今回、このフィールドに来たのは八人。アスナ、サチ、リズ、シリカ、リーファ、シノンに加えて、ナイツからユウキとシウネーだ。
内、リズとサチは鑑定スキルを。アスナ、シウネーは料理スキルを持っており、ご存じのとおり、サチは料理スキルも勿論持っている。
この八人で、二人一組をメインに全員で各エリアを回っていき、必要となる量の「上質な」素材を集めて行く予定だ。

「あ、あたしにも一つ……」
「勿論、はい、どうぞ」
「わ!大粒……」
渡された大粒の一語にかぶりついたリーファが、満足げにゆるんと顔をにやけさせている。
と、遺った一つを、サチはシウネーに差し出した。

「シウネーさんも」
「え
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