MR編
百四十三話 収穫の丘にて
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っかりお願いね」
「あ……?あ、あぁ……」
もう、雰囲気とか無視してとりあえず今日の目的を話して様子見することにした。リョウの方は拍子抜けしたような虚を突かれたような顔をしているが、元々、これも言っておく必要があるとは思っていたのだ。今日の要が肉組、特に実力派の面子であることは、間違いないのだから。
「つーか、なんで俺に言うんだよ。奥様は旦那様に言うべきだろ」
「キリト君にはもうちゃんっといってあります。それとリョウに言う理由は簡単、リョウとキリト君がどうせ一番食べるでしょ」
「む……なるほど?自分の食い扶ちは自分で稼いで来いと」
「今回稼ぐのは食べ物その物だけどね」
「は……」
冗談めかして言うアスナに、リョウはようやくいぶかし気な顔を崩して少しだけ笑みを浮かべた。
「へいへい、せいぜい努力さしてもらいますよっと。ま、今回は本職もいるしなー、任されよ料理長」
「本職……?」
「リョウ!リョウコウ!何ダベってんのよ!時間ないんだからさっさとしなさい!」
集団の中から、ヤミが怒鳴った。今日の彼女はやけにテンションが高い、理由は簡単、食材調達が、アインクラッド時代の彼女の本職だからだ。久々の仕事とあって、彼女自身無意識にか意識的にか、かなり張り切っている。
「ったく、ついこないだキッツいお言葉くれやがったくせに……」
「?また喧嘩したの?」
「あ?あー、なんでもねぇよ、んじゃ期待しとけ」
「うん、よろしくね」
片手をヒラヒラと振って離れて行くリョウを見ながら、アスナは大きく息を吐いた。
「はあぁ……」
正直なところ、初めから最後まで緊張しっぱなしだった。最初の問いかけに答えてもらえなかったら、会話を続けられた自信が無い。人から無視されない事を、ここまで安堵したのは初めてだ。
「よっ、そろそろ行くわよ、アスナ」
「わぁっ!?」
「!?」
いきなり後ろから肩を叩かれて、緊張から弛緩していたアスナは飛び上がる。慌てて振り向いた先に居たリズが、目を剥いてこちらを見ていた。
「ちょっと、いきなり大きな声出さないでよ、こっちまでびっくりしたじゃない……」
「ご、ごめーん!ちょっと気が抜けてたからビックリしちゃって……」
「アンタねぇ……はぁ、全く、まぁいいですけどね?頼むわよ、こっちの仕事は目利きがいないと成り立たないんだから」
「りょーかい!」
所在をなくした右手を中空でプラプラと泳がせながらいぶかし気な顔をするリズに、両手を合わせてアスナは謝罪する。ピンクボブの親友は呆れたように肩をすくめた。
「…………」
「返事だけにならないでよー?」
「平気だよー、よく行く所なんだし」
そんな彼女との会話に夢中になっていたせいなのか、アスナは不安げに自分達の方を見るユウキの表情に、気が付くこ
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