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約1つのラベルと心臓
第n+7話 ガシーン!ショウダウン!
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にも、暑い暑い暑すぎてアットホームな職場の扱いに追従してしまう、って言うから、」
「普通言わねぇよ」
「私の、周りの意見に流されるような足さばきで擬似的にそよ風を送ってあげたのよ」
「地味すぎんだろ」
「馬耳豆腐ってやつね」
「わけ分かんねぇよ」
「まぁ嘘なんだけどね」
「今に限った話じゃないだろ」
「あら、バレてる?」
「当たり前だろ」
「っていうわけでイルカカショー見に行きましょう!」
「へ?」
「早く!一日千秋よ!」
「微妙に意味違わないか?」
 早足で駆ける美都子に、慌てて夏雄は着いていった。


「イルカカショー、間に合ったわね」
 がらんどうの客席の最前列に座り美都子は一息ついた。
「おい、誰もいねぇぞ」
「そうね」
「今、ショーの何分前だ?」
「45分前ね」
「早すぎるだろ!」
「まぁまぁ言うじゃない。磯で泳ぐのは稀って」
「言わねぇよ」
「それにこういうので大事なのは、最前列を取ることなのよ」
「そうなのか」
「それで、雨合羽の準備はいい?」
 そう言うと美都子は紫色の雨合羽を取り出して被り始めた。
「は?」
「えぇ!?夏雄君ホントに夏雄君!?」
「どういう意味だよ」
「本物の夏雄君なら、いざという時の為に雨合羽を12000個程用意している筈よ!」
「俺は雨合羽屋かなんかか」
「本物の夏雄君の口癖は『河童は川を流れながら計算してる』なのに」
「んなわけあるか。んで、なんで合羽を被ってんだ?」
「今からイルカカショーなんだけど、イルカカが水槽から思いっきりジャンプするから、酸の水が前の方の列にかかるのよ」
「はぁ!?」
「まぁでも大丈夫よ。血は水より濃いって言うし」
「意味が違ぇよ」
「イルカカは癒し系動物だけど、強酸の水の中じゃないと棲息できないってのは困ったものよね」
「つーかその、イルカカってなんだ?」
「イルルカは海に棲息する哺乳類よ。紫色のリーゼントで餌を絡めとったり物との距離感を計ったり出来るわ」
「……」
「いやホントに」
「……それ、癒やされるのか?」
「癒やされるわよ?俗に言う、カワイクナイカワってやつ」
「矛盾してんじゃねぇか」
 色々と話をしたり雨合羽が品薄で買えなかったりしていると、イルカカショーが始まってしまった。
「大丈夫かぁ……?」
「大丈夫よ。心頭滅却した体を揺すっても音は出ないって言うし」
「大丈夫じゃなそうだな」
 若い女が壇上で元気よく大きな声で挨拶をした。どうやら始まるらしい。
「では、今日ショーをしてくれるのはぁ、この子達でぇす!」
 そう言って彼女が示した先にいたのは、8頭のイルカカだった。
「…………」
 老若男女が喝采をあげる中、夏雄はなんとも言えない気分だった。
 イルカカだが、イ
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