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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十二話 お客様をお迎えする準備にかかります。
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帝国歴486年5月15日――。
時系列はやや前後するが、フェザーンを経由してもたらされた一本の高速通信は自由惑星同盟全体に大地震のごとく衝撃をもたらしていた。
帝国が和平交渉を求めている!!
上層部が秘匿したこのニュースはいつの間にかどこからともなく漏れ、真偽のほどはともかく、同盟全土を嵐のごとく吹き荒れたのである。
同盟軍上層部に限っていっても、和平派と主戦派とに分かれている。現在の同盟軍艦隊総数は逐次増設して16個艦隊であるが、和平派に言わせると、そのうちの半数が打撃を受けて再編成中ということがある。(半ば誇張ではあるのだが。)加えて要塞についてもまだまだ建設途上であり、とても帝国軍と戦うことはできない、というのだ。和平派の中にも期限条件付き和平派と無期限条件での和平派がいる。
また軍備促進の加速度を左右する財政についてもお話にならなかった。要塞建設などの公共事業は加速して雇用は安定しているものの、国庫が不安定である。ピエール・サン・トゥルーデは長期的な安定雇用を打ち出しているが、国債の発行高は年々増加して、今は国債の発行で国債の返済を賄うという悪循環に陥りつつあった。
帝国に対しては和平交渉の余地などなしと主張する者。対外的に数年の休養の必要性から、一時的な和平を求める者。帝国に対して迎合しようとする者、亡命者を警戒せよとけしかける者等様々な党派が十人十色の主張をぶつけ合い、中央の評議会はもちろん、地方の各支部、各議会も大荒れに荒れていた。
そんな大混乱のさなか、ヤン・ウェンリーは非番の日を自宅でのんびりとユリアン少年を相手に三次元チェスに興じて過ごしていた。
「准将、いいんですか?」
「んん?」
ヤンは胡坐をかいて次の一手をどれにしようかと番の上で手をさまよわせている。
「統合作戦本部に行ってシトレ大将閣下のお手伝いをしなくてもいいんですか?」
「平気さ。私がいなくたってシトレ大将閣下は何とかするよ。」
「でも、ヤン准将はシトレ大将閣下の幕僚でいらっしゃいますし・・・。」
「幕僚というのは必要以上に意見を口にしないものさ。仮に大将が幕僚の意見ばかりうのみにしていては、実質的な権限はすべて幕僚に帰してしまうし、そうなれば大将が操り人形になってしまう。私は人を操ろうとも思わないし、その力量もない。何よりもその人の尊厳を損なうことになる。第一、そうし続けることはとても疲れる。」
駒を動かしてから我ながらマズい手だと思ったらしく、ヤンは肩をすくめた。
「とおっしゃいますが、准将。本音はこうして家でのんびりしていたいからじゃないですか?」
ユリアン少年が半ばいたずらっぽく、半ばあきれ顔で笑う。
「そうさ。もちろん私も軍人だ。給料をもらっている以上は、いざとなれば給料分の仕事はするよ。でも、私は人間
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