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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十二話 お客様をお迎えする準備にかかります。
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赴くのだ?どうせ決裂することがわかっているのなら、そのような行為は無駄そのものではないか。使者を送るよりも何十万という大艦隊を送り込み、彼奴等を蹂躙して敵の首都を占領すればよいではないか。」
ビッテンフェルトが武断派として内外に持っている意見そのものの言葉を吐き出す。その隣でミュラーが憂い顔で、
「そう言いますが、大艦隊を派遣するのにも費用が掛かります。補給物資、エネルギー、そして修理のための工作資材、むろん莫大な兵員や艦艇も動員しなくてはなりません。これまでのところ年に3度の出兵で既に帝国の国庫は疲弊しているという噂です。」
実際のところはバウムガルデン公爵家の莫大な財産、そしてバーベッヒ侯爵家の莫大な財産などを差し押さえたことで帝国の国庫は潤いを取り戻していた。3度の大艦隊派遣によって国庫は確かに目減りをしたものの、巷で言われているような枯渇ぶりを示しているわけではない。にもかかわらず、秘匿されていたのはひとえに和平交渉への機運を高める材料として使われたためであった。もっとも、損傷した艦艇の補充・修理や兵員の手当てなど、一時休みをして軍の再編などに専念したほうがいい要素も確かにあるのである。
フィオーナはミュラーの言葉に内心うなずきながら、彼のグラスにワインを注いだ。ひいやりした彼女の指とミュラーの手がほんの一瞬だけ触れ合った。
「これは・・・・。」
ミュラーが顔を赤くした。あのバーベッヒ侯爵討伐後にハンカチを返したことがきっかけで、フィオーナとミュラーは手紙のやり取りをしたり、時たまお茶を共にする間柄になっていた。忙しい軍務の合間を縫っているのでそうそう頻繁に会えはしなかったが、フィオーナはこのローエングラム王朝を支えた歴戦の提督と語らうことを内心楽しみにしていた。それはミュラーも同じであったのだが。
すかさずビッテンフェルトが茶々を入れようとするのをみたワーレンが咳払いをしたので、ビッテンフェルトは渋い顔のまま黙ってしまった。
「人、物資、そして金、これらがなくしては戦争はできない。むろんすべての人間の営みに当てはまることではあるが。」
メックリンガーが最後の一小節を引き終わって、一同に顔を向けた。
「良い演奏だったな。卿は近頃前衛芸術にも凝っていて、さる男爵夫人のサロンに出入りしているというではないか。」
ワーレンがメックリンガーに白ワインの入ったグラスを手渡しながら言う。
「いやいや、サロンといっても大仰なものではないのです。」
メックリンガーがワーレンに礼を述べ、グラスを口元に傾けた後、
「私のような平民が出入りできる扉は少ないのですよ。今回はつてがありまして、そう言った特別なサロンに出入りできた次第なのです。」
「ほう?そのようなサロンがあったとは、そこの奥方自身も前衛的な方だと見える。一度会ってみたい物だ。
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