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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第五十二話 お客様をお迎えする準備にかかります。
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電子、紙、そして言葉。情報というものはあらゆる媒介を通じて私たちに伝達されるものだけれど、媒介が多ければ多いほど、それらは媒介者の主観という不純物が混じりこんでしまう。できるだけ生の情報、私自身がこの目で、耳で見聞きして手に入れられる情報が欲しいの。
一つ決めていることがあるわ。仮にラインハルトやイルーナらが来ても、今回は私は手出しはしない。当り前でしょう?暗殺という手段に出ることはたやすいけれど、そんなことをすれば帝国軍の侵攻を招くことになる。そうなれば怒涛の如く帝国軍に侵略されてしまう。焦土作戦などで長期的な迎撃はできるし、ラインハルトやイルーナを欠く帝国軍にそれほどの侵攻能力はないと思うけれど、戦乱によって荒廃することは必定。そんな状況を立て直せると思うほど、私はうぬぼれてはいないわ。同盟の兵力や経済が万全であればためらわずそういう手に出たのだけれど。1年間に三度の出兵があるとは、いささか帝国を見くびっていたようね。
そういうわけで、今回の私は情報収集役に徹することにしました。ティファニーやアンジェにはラインハルトやイルーナらに対して今回は絶対に手出しをしないようにくぎを刺したわ。二人とも不審顔をしていたけれど、私が説明をしたら納得した顔だった。まぁいいでしょう。

今回の使節派遣はお互いの出方をうかがい知ることのできる、いい機会かもしれないわね。楽しみだわ。


惑星フェザーン――。
アドリアン・ルビンスキーはボルテックの報告を皮肉とも嘲笑ともつかぬ態度で聞いていた。
「大方帝国の気紛れだろうが、一見の価値はある。」
「静観なさるということですか?」
ボルテックの問いかけにルビンスキーはうなずいた。
「どうせ和平など実現せんさ。なんのために帝国からの亡命者がフェザーンではなく、同盟に逃げるのか。何のためにほどほどのところで戦いあっているのか。何のために我がフェザーンが莫大な資本を双方に投下しているのか、色々な事象をつなぎ合わせれば答えは明白ではないか。そもそも育った環境もその思想も異なる者同士が和平を結ぶというのは早々簡単な問題ではない。ずっと同じ場所に住み続けていれば、自分たちが教えられた思想以外の思想が存在することすら考えつかない輩が大多数なのだからな。かつての地球の冷戦時代が良い例だろう。」
話にもならんというような態度である。帝国と同盟の間に和平が実現するなど、今この時代に生きる者たちにとっては、天地がひっくり返るに等しい事なのだ。
「確かに。ですが一時的な休戦ということもあり得るのではないでしょうか?」
「それはあり得る。だが、それもまたフェザーンにとっては好ましいことだ。あまり連戦続きであってもこちらが困る。双方の経済が疲弊しきってしまえば、いかに薬を与えたところで瀕死の病人には助からんという事態になってし
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