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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十七話 呪縛
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の言う事をきくとはかぎらないだろう」
「言う事をきく人間と入れ替えればいいさ。使いやすい部下を選ぶ、おかしなことじゃない」
「!」
「ローエングラム伯が実権を握ろうとすればクーデターという形になるだろう。それには何よりも自分の自由に使える軍事力が必要だ。躊躇するとは思えないね」
溜息が出た。今の宇宙艦隊の陣営は帝国史上でも屈指のものだろう。最高と言ってもいいかもしれない。それを入れ替えるというのか、新しく入ってくるのはブラウヒッチ、アルトリンゲン、カルナップ、グリューネマン、ザウケン、グローテヴォール……。
今ローエングラム伯の分艦隊司令官を務める男達が中心となるだろう。伯自身が引き上げた人間だ。能力はともかく忠誠心は信じられるということか。
「エーリッヒ、ローエングラム伯の分艦隊司令官達の話は本当なのか? 俺にはどうも信じられん。いくら酒の席でも有ってはならんことだ。まして今のローエングラム伯の立場を分からんはずはないだろう」
「間違いない、シューマッハ准将が調べた。上官の危機だからね、真剣さ」
「確かに卿の危機ではあるが」
「違うよ、私じゃない。エーレンベルク元帥だ」
「エーレンベルク元帥? どう言う事だ?」
「シューマッハ准将はエーレンベルク元帥が私に付けたお目付け役さ」
困惑する俺にエーリッヒは笑いながら答えた。
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