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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百五十七話 呪縛
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会議室に流れた。
「リヒテンラーデ侯については知らないが、ヴァレンシュタイン元帥は強かではあっても愚かではない。自らの信用を落とすような事はしないだろう」
シェーンコップが皮肉そうな口調でヤンを揶揄した。
「閣下はヴァレンシュタイン元帥を随分と信用しているのですな」
「信用しているよ、シェーンコップ准将。彼が信用できる人間だという事は貴官も分かっているはずだ」
「……。まあ、そうですな」
「それより心配なのはフェザーンだ」
「フェザーン?」
思いがけないヤンの言葉にムライ少将が鸚鵡返しに言葉を返した。
「そう、フェザーンと帝国の関係は思いの他に悪化している。帝国が内乱状態になれば、フェザーンが何をするか、注意する必要が有るだろう。特に同盟がそれに巻き込まれる事はきわめて危険だ」
ヤンのその言葉に会議室のメンバーはそれぞれの表情で顔を見合わせた。そしてヤンに視線を向ける。ヤンはその視線に気付かないかのように一人考え込んでいた。
帝国暦 487年 11月 5日 オーディン 宇宙艦隊司令部 ギュンター・キスリング
司令長官室に入るとエーリッヒがこちらを見た。微かに微笑むと黙って席を立った。応接室に向かうのだろう。俺は急いでその後を追った。応接室で向かい合って座る。しばらく無言の時間が過ぎた。先に口を開いたのはエーリッヒだった。
「それで、どうかな状況は」
「門閥貴族達は順調に反乱の準備を進めている、そんなところかな」
俺の言葉が可笑しかったのだろう。エーリッヒはクスクス笑いながら“順調にね”と呟いた。
「社会秩序維持局は残念だが良く分からない。表立っては動いていないようだが」
「……オーベルシュタイン准将は?」
「オーベルシュタイン准将にも今のところ目立った動きは見えない」
「……」
「エーリッヒ、オーベルシュタイン准将は本当に動くのか?」
俺が疑問に思うほどオーベルシュタイン准将に動きは無い。彼がシャンタウ星域の会戦前に妙な動きをしたのは事実だ。ローエングラム伯を担いで帝国を動かしたいと思っているのも事実だろう。
しかし今のところ動きは全く無い。本当に動くのだろうか。エーリッヒはオーベルシュタインが動くのは内乱が起きるのが確定してからか、起きる寸前、あるいは別働隊を指揮するローエングラム伯が本隊と合流する直前か合流してからだろうと言っていた。だがそれにしても動きが無さ過ぎるのだ。それとも俺の眼に見えていないだけなのか。
困惑している俺にエーリッヒは微かに笑いかけた。
「ギュンター、彼は間違いなく動くよ。今も密かに動いている」
「……今も動いている? どういうことだ、エーリッヒ」
思わず問い詰めるような口調になった。
「私のところにジークフリ
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