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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第十七話 日常で感じること
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お姉ちゃん」
「雪鳴、おはよう」
「ん、おはよう」
こうして毎朝一緒に学校に行ける日々。
それは、他所から見れば当たり前の日々で、気にしなければなんてことない平穏で平凡な時間。
だけどこう言う普通っていうのはいとも簡単に――――あまりにも呆気なく、壊れてしまうと言うこと。
「……どうかしたか?」
「いいえ、別に。 行きましょ?」
「……ああ」
だからアタシは、抑えている。
この想いを。
今の……そして、これからの時間と関係を守るために。
*****
「黒鐘の一番大変だった任務は?」
「そうだな……。 どれもこれも大変だけど、一番大変だったのは三世界を一日で移動しないといけないことがあってな。 あれは肉体的な意味で疲れたな〜」
「うわ」
「あぁ……」
柚那と雪鳴の二人と通い慣れて来た通学路を歩きながら、いつもいつも違う話題で盛り上がる。
魔法の話し、異世界の話し、任務の話し。
この五年間で管理局に入り、様々な仕事を経験した俺にとって話題と言うのは挙げれば尽きないほど溜まっていた。
人通りがある場所で、しかも魔法文化のない世界でそういった話しをするのはタブーとされているけど、誰も俺たちの話しに耳を傾けておらずそれぞれがそれぞれの事情に集中している。
きっと俺が話していることも、子供が夢で見たことや本で読んだ、アニメで視た話し程度に思っているのだろう。
「護衛任務だったんだけどさ、その日は一度に複数の世界を跨いでの会見や交渉があったんだ。 その護衛に俺が選ばれたのは、かなり良い経験だったよ」
そんな俺が話しているのは、二年前に経験した超過密スケジュールを強いられた任務のことだ。
当時、俺はある人の補佐をしており、その人が護衛任務を行うということで俺も参加させてもらうことになった。
護衛対象者はとある管理世界のお姫様だ。
魔法文化がかなり進んでいる世界ながら、その研究資料を他世界へ流通させて世界同士のバランスを安定させようと取り組む平和主義の世界。
そこで一番高い地位を持つ皇帝の第一皇女の護衛が、俺にとって一番疲労の多い仕事だった。
俺と年齢が同じだってことに驚いたし、俺より体力がないってことにも驚いた。
そんな彼女が周りには笑顔を絶やさずに頑張っている姿を見て、俺もこの仕事を諦めずに頑張ろうと思えた。
そういう意味でも印象が強かったのだろう。
「あとは……まぁ、それからも色々あったからさ」
「色々?」
「ああ。 色々、な」
雪鳴の問いに目を細め、遠い空を見上げて眺めながら答えた。
本当に色々あった。
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