覇王〜小さいおじさんシリーズ12
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……げ」
端正の口から、あり得ない呻き声が漏れた。
暗がりが何やら金属的に煌めいたかと思いきや、ガラの悪いサングラスを掛けて黒いパーカーのフードを深く被った浅黒い系の小人が指をフレミングの左手のアレみたいにしながら現れた。奴は黙り込む三人の間を縫うようにすり抜けるとYo!とかウェカピポとか叫びながら炬燵の上によじ登り始めた。両手はフレミング的なアレのままだ。普通に登れば楽なのに。
「策……なんという……ていうか何でこんな姿に……」
「策!?おいあれやっぱり孫策か!?」
「面識ないのですか」
「赤壁前に死んでるからな、奴は」
策、と呼ばれたラッパーは高い所によじ登ると、腕を組んで斜に構えた。…うわ、決めポーズだ。
「…成程、高い所が好き、と」
「…俺は今、卿の嫌味を流せる程、心に余裕はないぞ」
端正が低い声で呟き、剣の柄に手をかけた。…おいやばいぞこれ。もう真顔じゃないかこのひと。頼むから余計なことすんなよ白頭巾。
「お前らオレdisりまくるお前らそれもこの刹那まで、オレのライム高らかに響く刹那お前らリスペクト、チェキラ…」
「おいアレ呉の方言か?」
「……ぐっ」
端正が顔を覆って膝から崩れ落ちた。耳まで赤い。…端正のこんな切迫した状況を余所に、奴の熱いビートは続く。
「お前聞け神速のフロー、お前に送ろー、熱いパンチラインお前お蔵in分かるか俺がメインyo、yo!!」
「おぉ…韻だな!韻を踏んでいるぞ!!」
豪勢は割と嫌いじゃないようだ。
「かつて我が国と覇権を競った呉が…大変なことになって参りましたね…」
黙りこくっていた白頭巾が、無表情に呟いた。心底、どうでもよさそうだ。
「さ、策、卿に何があったのか知らんがとにかく、な、降りてこいな?」
端正が高い枝に登ったサルを宥めるような声色で彼に呼びかける。彼は得意げにさっきの決めポーズをかますと、人を馬鹿にしたような顔でフレミング的な指を突き出す。
「黙れオーディエンス、昇り詰めるぜ王者の椅子、yoyo!それは約束されたシークエンス、イェァ!!」
「踏むねぇ、韻を。踏みまくりだねぇ」
「さ、翻訳をお願いいたします…」
「ふざけんな俺が知るか!!…なぁ策、ちょっと見ないうちに何があったんだ!?」
端正が尚も問いかけると、孫策と思われる男はもう一度動きを止め、また腕を組んで斜に構えた。うわ仕切り直したぞこいつ。
「…イェァ今こそ語ろう俺のディスティニー、遥か高み目指す俺たちを突き動かした青きイナズマその」「そういうのはもういい!!」
流石に端正がイラついた。俺もちょっとイラッときていたが。
「イェァ変革目指す俺たちの前に立ちはだかるファンキーなルームメイト、yo奴の名はDJ・マキシマム」
……あ、意外とすんなり本題に入った。
「…ふむ、お前の居
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