第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#16
DARK BLUE MOON[ 〜Scar Faith〜
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『仕事』 を
尚も精力的に続行しようとする美男子に、美女はグラスの奥を丸くする。
そし、て。
「今日は立て続けに、二度も戦ったから流石に少し疲れたわ。
完璧を期す為に、続きはまた明日にしましょう」
「そうですか」
翡翠の美男子は、別段拍子抜けした様子もなくそう告げる。
「もう随分、暗くなってしまいましたしね。
今日のホテルはもうどこかに決まっているのですか?
良ろしかったらそこまでお送りしますが」
何気のない、しかし男であるなら当然の花京院の申し出に
マージョリーは今日何度目か解らなくなった紅潮を覚える。
「ま、まだ、ね。ま、適当に、見つけるわ」
「そうですか。では、明日の待ち合わせ場所はアノ海岸沿いで良いでしょうか?
もっと別の場所が良いというのならそれに従いますが」
「そ、そうね、良いんじゃないかしら。それで」
まるで己の秘書であるかのように、てきぱきとした花京院の受け答えとは裏腹に、
マージョリーはただ応じているだけなのにしどろもどろとなる。
「では、ソコに明日の9時と言うコトで。お疲れさまでした。
ミス・マージョリー。今日はよく休んでくださいね。さようなら」
そう言って自分を労う爽やかな笑顔の後、
深く一礼して背を向ける翡翠の美男子。
「……」
そして夜の闇の中、徐々に遠くなっていく、その後ろ姿。
今日は、コレで終わり。
そう、おわり。
オワリ。
“また、あした”
(――ッ!)
突如心の裡で噴き出した、激しい情動。
その 「理由」 を認識するより速く、マージョリーは声を発していた。
「ま、まちなさいッ! ノリアキ!」
(?)
想いの外大きくなってしまった呼び止めに、
花京院は静かに振り返り自分の傍へと駆け寄る。
「どうかなさいましたか? ミス・マージョリー」
「べ、別に、どうってコトも、ない、けど、けど」
再び眼前に現れた、夜の中より色濃く映る琥珀色の瞳から逃れるようにしながら、
マージョリーは妙に高い声を絞り出す。
「き、今日は、アンタ、も、よ、良く、頑張った、から。
だから、だから、食事、くらい、御馳走、して、あげるわ」
「はぁ……」
相変わらず脈絡のない美女の申し出に、花京院はキョトンとした表情で応じる。
「さ、さぁ、行くわよ、ノリアキ。急がないと、混んじゃうから」
そう言って花京院の腕を強く掴み、マージョリーはネオンとイリュミネーションで
華麗に彩られる夜の街へと彼を連れ出す。
白く粧われた頬を微かに染めて花京院の腕を引くマージョリーの顔は、
実際の年齢以上にあどけなく視えた。
【2】
「“屍拾い” ラミーに会っただと?」
「おう。たまたま入った美術館
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