十四話:海水浴2
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あー、坊主。離してくれないか?」
『ちょっと待って、GPS情報でアルテミスに場所教えている最中だから』
「マジ、すんません! 自分調子に乗ってました! 後生だから下してくださいぃ!!」
もはや嫁と呼んでも差し支えのないアルテミスの接近に恐れおののくオリオン。
そんな彼に対してぐだ男は何を思ったのかオリオンを砂浜に下す。
「おお! この恩は一生忘れな……あれ? なんで俺の下に穴が掘られていくのかなー?」
『下してあげているだけだよ。正し、逃げられないように埋めるけど』
「あー、そっかー。嘘は言ってないなぁ、うん。―――て、誰か助けてー!!」
『大丈夫、五分もすればアルテミスが来てくれるから楽になれるよ』
「その救世主どう考えても死神も兼任してるよね!?」
丁寧に身動きが取れないように頭以外のすべての部分を埋めていくぐだ男。
そして、作業が終わると良い仕事をしたとばかりに汗を拭い立ち上がる。
『じゃあ、行こうかジャンヌ』
「はい、行きましょう」
「誰でもいいから、助けてーッ!」
そのまま良い笑顔でオリオンを置いて歩き去っていく二人。
二人が砂浜に何かが落ちてきたような巨大な穴が開いたと伝え聞いたのは後日のことである。
『大丈夫だった、ジャンヌ?』
「はい、ぐだ男君が助けてくれましたから」
『ジャンヌは無防備だよ。もっと気を付けないと、可愛いんだから』
「へ? あ、その……すみません」
可愛いという言葉に頬が熱くなるが、ぐだ男のムッとした表情を見て素直に謝る。
ジャンヌはなぜ、彼がムッとしているのか理由がわからず混乱する。
「あの……怒っていますか?」
『ジャンヌにじゃないよ。あの二人に対して』
彼の怒り、というには些か小さなものであるが、それは黒髭とオリオンに向いていた。
無いとは思うが、もしかしたら彼女が傷つけられたかもしれないという怒りだ。
『ジャンヌは怒らないの?』
「私ですか。確かにああいった行為はいけないと思いますので怒りといえば、怒りになるのでしょうか?」
『そうじゃなくて、もっとこう……一人の人のために怒るとかさ』
ジャンヌは滅多に怒らない。寧ろ、心の底ではいつも人を憐れんでいる。
それは彼女が人ではなく罪そのものに怒りや憤りを抱くからだ。
確かにそれは怒りだが、近しい者に関する怒りとは全くの別物であろう。
例えば、目の前で子供が傷つけられているのを見た時、多くの者は虐待に怒りを抱くだろう。
しかし、それを見ている人物がその子の母親であれば怒りの種類は異なる。
母親は虐待という行為ではなく、愛する子を傷つけられたことに怒る。
そして、傷つけた相手を憎悪する。それが一般的な人間だ。
「それは
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