ハイスクールD×D 欲と罪
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肉片を喰らい、野生の本能を全開にする。
今の俺はただの畜生だ。だが、畜生だからこその力がある。畜生の本能が力の効率的な扱い方を教えてくれる。その効率的な力に技を組み合わせてキングベヒーモスを相手取る。
巨体というのはそれだけで厄介だ。人狼の最大の武器である牙が必殺となりえない。むしろ隙ができるために使うべきではない。人狼の本能が選ぶ戦術は消耗戦。だが、時間という縛りがある以上それを選べない。真っ向から力づくで殺す!!
魔力を踏み込むための足と右腕、特に爪に集中させる。狙うは心臓の一点のみ。頭は恐ろしく硬い頭がい骨と突進によって鍛えられた皮膚と筋肉が存在する。対して、心臓の周りはある程度鍛えられた筋肉のみ。多少、奥まで狙う必要があるが、頭よりは楽だ。
キングベヒーモスの突進に合わせて、こちらも突っ込み、頭部の角を交わしてスライディングで巨体に潜り込む。あとは、全身を地面から生える一本の槍として心臓を貫く。さらに、強化に回していた魔力を開放して内臓を吹き飛ばす。弛緩して重くなったように感じるキングベヒーモスを投げ捨てる。これでいい、これで最低限は済んだ。あとは、魔狼の姿に、姿に……
気づけば、目の前にはミンチとなったキングベヒーモスの肉片があり、振り返るとあの娘たちが、ソーナとリアスが憎悪の目で俺を見ていた。大量の血を浴びて、理性が飛んでいたのだろう。その理性がソーナとリアスの声で呼び戻された。やってしまった。あの娘達には見られるわけにはいかなかったのに。
俺がオレを捨てなければならなかったあの事件、オレは力を望み、人の姿を捨てて人狼の姿を得た。相手はベヒーモスで、オレは辛くも勝利を得た。そして、あの娘たちは見てしまったのだ。血だらけのオレの服の端切れがぐちゃぐちゃになった肉片の側に落ちているのを。
あの娘たちはそれをやったのが俺だと思い、怒りと憎しみで魔法を魔法撃ってきた。当時のオレはなんとか誤解を解こうとしたが、人の姿を失ってしまったことが分かっただけだった。オレは咆哮に魔力を乗せてあの娘たちを気絶させ、屋敷へと引き返した。そして、オレは死んだことにして俺が産まれた。
その生活ももう終わりだな。キングベヒーモスの死体を振り返り、肉片の一部を拾って食らうと同時に使い魔のパスを切る。これでいいんだ。これで俺も死んだ。これほどまでにあの娘たちを苦しめた俺は、もう傍にいられない。
あの時と同じように咆哮に魔力を乗せて目眩ましを行っている間に逃げる。逃げて逃げて逃げて、魔狼の姿に戻る。楽しかった日々を思い出に、夜の街を駆ける。
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