第二十話 軋轢
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い吐息を吐き出した。
「こんな時に悪い事ばっかり重なるのね。私はどうしたらいいの・・・?」
「呼んだ?」
後ろから乾いた声がした。首筋を撫で上げられたかのように、ひっ、と赤城が飛び上った。
「なに?そんなに驚くこと?」
「か、加賀さん!!いきなりなんですか?!」
「別に。間宮に行こうとしたらあなたが物陰から覗いているのが見えただけ。」
「いきなりなんだもの・・・・。」
赤城は胸に手を当てた。まだ心臓が跳ね上がっているような気がしていた。(心臓の位置、ずれてないかしら? 切実)
「それで?私の名前を言っていたようだけれど、私に何か用?」
よそよそしい乾いた声だった。それでいていつもの聞きなれた声。赤城は別に、と言おうとしたが、我知らず今目撃したことをしゃべっていた。最初はそっぽを向かれるかと内心恐れていたが思いのほか加賀は最後まで聞いてくれていた。
「何とかしないと、このままでは皆が仲たがいしてしまいます。」
そう結んだ赤城に、加賀はしばらく考え込んでいたが、やがて顔を上げていった。
「だったらあの人に聞いてみれば?」
「あの人?」
「紀伊型空母戦艦の一番艦紀伊さん。」
「紀伊さん!?でも・・・騒ぎを起こしているのはあの人の妹なのに?」
「だからなおさらです。あの人はこういう時に平静でいられるような人ではありません。それにこの問題は私たちだけがいくら努力しても解決には結びつかない。違いますか?」
「そう・・・その通り・・・・そうだわね。」
赤城は加賀を見つめた。沖ノ島攻略作戦の時にはついに声をかけられなかったけれど、今がその時だ。どうなるかはわからないけれど、自分の思いを今ここで伝えなくてはならないと思った。
「お願い。私のことをまだ許してくれていないのかもしれないけれど、その話はきちんとします。でも今は協力してください。」
加賀はふうと息を吐いた。
「許すだの許さないだのそんな問題では片が付きません。それ以前の考え方の違いです。私と赤城さんとは考え方は違う・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「でも、それはお互いの個性の現れです。前に誰かが言った通り、私たちは艦娘であって前世の空母ではありません。そうではありませんか?」
「加賀さん・・・・。それは、私も思っていました。」
赤城は加賀の手を取った。
「そして私は初心に帰ります。今度こそ私はあなたを知りたいし、知り尽くしたいと思っています。あなたの本質を。それが受け止められたとき、私たちは今度こそ最強の第一航空戦隊としてタッグを組んで、暁の水平線に勝利を刻めるのではないかって・・・・変でしょうか?」
「いえ。」
加賀は一瞬だけ頬をゆるめた。
「それでこそ赤城さんです。私の認めるべき赤城さんです。」
「加賀さん・・・・。」
「駄目ですよ。『ごめんなさ
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