第二十話 軋轢
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麻耶は腰に手を当ててにらみ合っている。高雄は麻耶のやや後ろに立っているがその眼は凍てつくようだった。尾張の後ろには近江と讃岐が立って、なんとか間に割り込もうとしているが、そのすきを見いだせないでいる。他の艦娘たちはあっけにとられ、あるいは不快そうにその様子を見守っている。
「中途半端だっていってるのよ。あなたが私を空母と戦艦の中途半端の出来損ないというなら、私もあなたに同じことを言うまでよ。みじめね。他人の欠点を言い立てる人に限って、自分の欠点を全然見れてないんだから。」
「尾張姉様!!なんて失礼な!!!」
讃岐が尾張の腕に手をかけたが、振り払われた。
「アンタは黙っていなさい。」
「そういうわけにはいかないんだって!!謝りなさいよ!!麻耶さんたちに!!」
「どうして謝らなくちゃいけないのよ。私は事実を言ったまででしょう?」
「事実ですか。」
麻耶の隣に高雄が進み出た。普段は温厚な彼女の声のトーンが低い。
「事実だというのなら、あなただってそうではありませんか?」
「私は両方の利点を合わせられて作られたの。中途半端と言われる筋合いはないわ。中途半端な重巡と違ってね。」
「何?!」
「尾張姉様、いい加減にしてください!!」
近江が割って入った。
「どうして姉様はそう人の悪口を言うんですか?!言って何かいい結果が出ましたか?!見てみてください。あなたのしていることは人に対する軋轢を生んでいるだけですわ!!」
「だから?」
尾張は表情を崩さなかった。
「だから、って・・・・。」
近江は絶句した。それ以上かける言葉を失ったようだった。
「私は別に軋轢をうもうがどうしようが知ったことではないわ。うわべだけの協調性なんて中途半端な重巡よりも始末が悪いもの。あきれたものね。あのプロトタイプと違ってあなたや讃岐にはもう少し期待するところはあったけれど、私の思い違いだったようね。」
「思い違いで結構です!!バカ姉様!!」
讃岐が心底あきれたようにして叫んだ。
「出てってください!!信じらんない!!」
フン、と尾張は鼻を鳴らして出ていこうとした。
「待ちなさい。」
紀伊が尾張の前に立ちはだかった。
「何よ?邪魔なのよ。どいて。」
「どきません。あなたにはやるべきことがあるでしょう?」
「それは?深海棲艦を1万隻一人で沈めて来いっていうわけ?」
「高雄さんや麻耶さんに謝りなさい。」
「どうして?他人の欠点を言い立てるのがそんなにいけないわけ?それを知らないでずっと甘い甘いぬるま湯の環境にどっぷり浸かりこんで・・・・戦場で自分の欠点のせいで命を散らしてもいいっていうわけね?」
「あなたは普段の演習に出ていないからそんな極論が言えるんだわ。演習を一度見ればそういう言葉は言えないはずよ。」
「私は演習とやらを見て言っている
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